3月14日
世界情勢の不透明感から卑金属相場は調整、インジウムなどレアメタルは上昇

先週(3月11日まで)は高水準にある原油価格が相場を支配する展開となった。不安定な中東情勢、原油上昇による世界的なインフレ懸念と景気回復への影響、そして東日本巨大地震の日本経済への打撃を背景に、卑金属の国際価格は全般に前週を下回った。今後もインフレ懸念の深刻化と過去最高の価格水準が需要の減退をもたらし、価格は下向く見通し。また、中東情勢と震災の影響は供給サイドにも影響するとみられ、BOCIは相場の今後の動向についてより慎重な見方を強めている。一方で、インジウム、ゲルマニウム、モリブデンなどのレアメタルに対する川下の新興産業からの需要は日に日に高まり、中国政府の後押しとともに相場の上昇が見込まれている。BOCIはA株非鉄セクターに対する強気見通しを維持し、個別では株洲冶煉集団(600961)、寧夏東方チタニウム(000962)を推奨。このほか、中国五鉱集団のマンガン子会社、金瑞新材料科技(600390)も注視している。

キーポイント

  • 先週のLME金属価格は軟調に推移。ニッケルが前週比9.9%安と最も値を下げたのをはじめ、銅、鉛、スズがそれぞれ7%超の下落となった。アルミニウムは前週比2.2%安と比較的小幅な値下がり。高止まりしていた金価格は1.1%安と調整した。
  • 中東・北アフリカ情勢はリビアに混乱が広かる中、バーレーン、サウジアラビアにも不安が生じ、不透明さが増している。中東情勢が原油価格に影響し、市場はインフレと世界経済の停滞を懸念。また、11日の東日本巨大地震による津波被害は日本の景気回復に大きな影を落とした。こうした状況下、卑金属価格の値動きは軟調に推移しており、地政学的な要素が今後の価格動向に影響するとBOCIはみている。
  • LMEの在庫は、銅、亜鉛、スズが先週に引き続き増加傾向を維持。
  • インジウムは川下需要が見込まれているため、一時的に過去最安値水準にあった価格の先行きに対し、生産者は楽観的。消息筋によると、3月に設立された昆明汎亜非鉄金属取引所ではインジウムのスポットが上場投資商品となる予定だ。インジウムの投資価値は世界的に上昇。レアアースは引き続き積極的に高値を追う展開となった。特に中国政府はレアアースの第一期輸出割当量を前年比35%減としており、供給の引き締めを注視する必要がある。
  • 先週の非鉄銘柄の株価動向は前週比0.08%高と、ベンチマークをアウトーパフォームした(CSI300指数は0.7%安)。値上がりを主導したのはBOCIが推奨するインジウム大手の株州冶煤集団。レアアース、永久磁石銘柄は値を下げた。