3月7日
鋼材価格は下向きを維持、在庫の増加は減速
先週(2月28日-3月4日)の鋼材スポット価格は、鉄筋が1.9%、熱延鋼板が1.6%下落したのをはじめ、下向きの傾向を維持した。需要の停滞が主因だが、それまでの過熱やトレーダーの資金不足も影響しているもよう。鉄鉱石も価格調整がみられ、鋼材価格は短期的に下向きの圧力がかかると予想される。鋼板類に関しては3-4月の需要増と輸出回復から相場の上昇が見込まれるが、条鋼類は供給増と政府の不動産規制により需要回復の時期が不透明。政府が今後さらなる規制強化措置を講じる可能性があることから3-4月の建材価格の上値は限定的とBOCIはみている。ただ、鉄鋼銘柄はバリュエーションが低水準にあるため、値上がりが期待できる。BOCIは鉄鉱石資源を自社保有する銘柄や特殊鋼メーカーに加え、宝山鋼鉄(600019)などの大手を選好している。
キーポイント
- 先週の鋼材スポット価格は引き続き調整。条項類は前週比1.8-1.9%安、鋼板類は同0.9-1.6%安。中でも熱延鋼板が最も値を下げた。
- 鉄鉱石価格はスポット価格と同様に下向き。青島港のスポット価格は2.2%安、唐山産鉄鉱石価格は3.4%安、冶金コークスは1%安だった。
- 多くの中小規模製鋼所が3月の工場渡し価格を引き下げた。下げ幅は鉄筋が0.4-3.4%、熱延鋼板が0.4-1.4%、中厚板が0.4-5%。一方、沙鋼集団は中厚板価格をおよそ4%引き上げた以外、3月の工場渡し価格を据え置く方針を示している。さらに2月には建築資材に対する補助金の適用を発表。鋼材スポット価格への影響が懸念される。工場渡し価格とスポット価格の逆転現象が続いている。
- インド政府が3月1日より鉄鉱石の輸出税率を引き上げると発表。低品位の鉄鉱石(粉鉱)の税率が5%から20%、高品位の鉄鉱石(塊鉱)が15%から20%にそれぞれ上昇。
- JFEスチールが生産コストの高騰を理由に11年4-6月期の鋼材価格を引き上げた。熱延コイルは11%高の1トン当たり1,000米ドルに、中厚板は40%高の同1050米ドルに値上げされる。
- 先週の鋼材在庫は前週比2%増。うち条鋼在庫は同2%増と減速した一方、鋼板在庫は同1.9%増と前週の伸びを上回った。在庫レベルが低水準にあった昨年12月半ばと比べると、現在の条鋼在庫はほぼ100%の大幅増。鋼板は12.6%増加した。
- 鋼材の川下需要は引き続き低迷している。高速鉄道と公営住宅の建設投資が拡大したものの需要回復のタイミングが見えず、11年下期まで停滞する可能性も。不動産過熱抑制策の強化が建材需要に影響している。
- 鉄鋼銘柄株価指数は先週、前週比2.89%高と、CSI300指数の2.28%高をアウトパフォーム。高速鉄道投資に関連し馬鞍山鉄鋼(600808)が大幅高。特殊鋼銘柄が出遅れた。