2月23日 A株「中立」、H株「中立」
金利自由化政策の進行で利ざや縮小か、政策警戒感が重しに
中国の金利自由化が実現するまでには長期間を要する見通しだが、今年は自由化に向けて一歩前進する可能性が出てきた。BOCIは中国人民銀行(中央銀行)が何らかの画期的な金融商品を試験的に導入するか、あるいは金利制限幅を段階的に緩和することで市中銀行の裁量余地を広げる可能性があるとみている。ただ、金利制限の緩和は市中銀行の利ざやを縮小させる見通しであり、投資家が政策警戒感を強める中、銀行銘柄の上値余地は限られる見込み。BOCIは利益成長や値ごろ感などを理由に短期的に買われる可能性を指摘しながらも、銀行セクター全般に対して中立的な見方を継続した。
中国政府は第12次5カ年計画(2011-15年)期間中に金利の自由化を進める見通しとなったが、自由化へのプロセスは一部銀行や一部商品に限定した試験的な自由化を経て、段階的に進む公算が大きい。BOCIはまず、貸付金利の下限、預金金利の上限の見直しが、次の大きなステップになると予想。特に預金金利の上限に関する現行規定の見直しが、銀行銘柄に大きく影響する可能性を指摘している。
中国人民銀行はこの先、大口定期預金などの新たな商品を認めることで金利設定上の柔軟性を高め、預金金利の自由化に道を開くとみられる。こうした方法に加え、段階的に貸付金利の下限、預金金利の上限を緩和し、金利自由化につなげる可能性があるという。
海外での過去の事例をみると、金利自由化は銀行間競争の激化を招き、利ざや縮小につながる傾向が明らかになっている。BOCIは中国の競争環境を考慮した場合、実際に利ざやが後退する可能性が高いとの見方。具体的な利ざやの縮小ペースについては、自由化の度合いによるとした。BOCIのおおまかな推定によれば、現在2.5%程度の利ざやが金利自由化の完了に伴い、2.0-2.2%に縮小する見通しという。
金利自由化が短期的に利ざやに大きく影響する可能性は低いものの、BOCIは投資家の反応がしばしば、実質的な影響を上回る傾向にあることを指摘。段階的な金利自由化が銀行銘柄のバリュエーションに影響する見通しを示した。BOCIによると、銀行銘柄の2011予想PER、PBR(株価純資産倍率)は現在それぞれ11倍、1.7倍と、ヒストリカル平均値を下回る水準。短期的には値ごろ感や好決算を手がかりに反発する可能性があるとしながらも、銀行セクター全体の大幅な値上がりには期待しにくいとみている。
BOCIは中でも中小銀行銘柄にとって、金利自由化に伴う資金コストの増大圧力が大きいとみている。大手行の中では、ネットワーク面の優位性を理由に中国農業銀行(01288)の資金コスト管理能力が高いとし、中小行の中では小口の普通預金の比重が大きい招商銀行(03968)へのマイナス影響が相対的に軽微にとどまると予想。また、小規模企業向け融資を強化している中国民生銀行(01988)についても、資金コスト増大分を相対的に転嫁しやすいとの見方を示している。