事業戦略を利益重視からシェア優先に変更、原材料費高騰と利益率低下を懸念

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00168 青島ビール(チンタオ・ブルワリー)  36.75 HKD
(02/15現在)
 株価
 企業情報
 チャート

青島ビールは原料となる大麦の50%を輸入に頼っている。2010年の輸入大麦の契約価格(推定)は1トン当たりおよそ240-250米ドル。10年上期は低水準を維持したが、下期には260-270米ドルに上昇し、11年上期には360-370米ドルに高騰した。一方、国内産の大麦は輸入品に比べて20%程度割安だが、今後は価格上昇が見込まれる。同社は国内産大麦の供給率を3年前の40%から高めているものの、国内産大麦の品質は輸入品に比べて劣るため、使用は安価な製品に限定される。割安に確保した大麦の在庫が切れる11年第2四半期からコスト高の影響が生じる見通し。BOCIは11年の大麦の平均コストについて、5%の人民元高を考慮した上で前年比22%増と予想。大麦のほか、米やパッケージ用素材も値上がりしており、今年これまでに5%のコスト増となっている。

同社は最近、利益重視から市場シェア優先に事業戦略を変更。新製品投入や買収を通じて中低位ブランドの商品を拡充している。10年12月には山東新銀麦ビールを18億元で買収。11年第2四半期から「銀麦」ブランドが業績に寄与する見通し。

同社は積極的なM&Aを通じて2000年初めには70以上のブランドを保有していたが、その後、製品を主力の「青島ビール」のほか、3ブランドに集約する「1+3戦略」を展開。主要ブランドの高い利益率により急速に業績を伸ばした。シェアを優先する戦略に変更したことで、同社のビール販売量伸び率は業界平均を上回る見通し。

同社は先ごろプレミアムブランドの一部製品を10%値上げした。ただし値上げ幅は原料コストの上昇分を賄うには至らないため、再度の値上げを実施する可能性が高い。BOCIは同社が今後主要ブランドで6%、中低位ブランドで3%の値上げを行うとみて、業績予想に加味している。11年の売上高伸び率は値上げや買収の効果で前年を上回るものの、12年には伸び率が元の水準に戻るとみられる。

中低位ブランドの売上比率が高まることで今後は粗利益率の低下が懸念される。主要ブランドの粗利益率が50%を超える一方、中低位ブランドは20%程度にとどまる。BOCIは09-10年に42.9%、41.9%だった粗利益率が11-12年にはそれぞれ40.2%、39.6%に下がると予想している。一方で市場シェア確保のためのマーケティング活動の活発化により販売・管理費比率は10年の水準を維持。低位ブランドの儲けは薄く、プレミアムブランドが全体の利益を稼ぐ構造となっている。

BOCIは11年の利益は前年比ほぼ横ばいとみて、10-11年予想利益をそれぞれ9%、22%下方修正。バリュエーションは11年予想PER25倍の水準をベースに目標株価を31.60HKドルに設定した。市場は原材料コストの負担増を充分反映しておらず現在の株価は割高と判断。株価見通しを慎重な見方に引き下げている。