2月14日
旧正月明けも価格上昇傾向が持続、3-4月の鋼板相場を楽観
旧正月明けの第1週(2月5-11日)は、熱延鋼板を除く各種鋼材のスポット価格が上昇傾向を維持した。川下需要が回復していない状況下で、鉄鋼メーカーが原材料価格や燃料価格の高騰を受けて出荷価格の引き上げに動いたことや、鋼材相場の先行きに対するトレーダーらの楽観見通しが背景。BOCIは短期的に、鋼材の値上がりが続くとみている。品目別では実需の伸びや中国の輸出回復を理由に、3-4月の鋼板価格の上昇を予想。一方、条鋼については供給拡大や国内の不動産過熱抑制策に起因する需要の先行き不透明感などを指摘し、3-4月の一段の価格上昇余地は限られるとの見通しを示した。また、持続的な低水準のバリュエーションを理由に、2月には鋼材価格の上昇を支援材料とした鉄鋼銘柄の値上がりが続くと予想。個別では、鉄鉱石資源を自社保有する銘柄や特殊鋼メーカー、さらに宝鋼股フン(600019)などの大手を選好している。
キーポイント
- 先週は熱延鋼板を除く鋼材スポット価格が上昇した。条鋼は前週比1-1.3%高、冷延鋼および中厚板は同1.1-1.7%高。鉄筋、線材などは2年ぶり高値を付け、ステンレス鋼価格は4-5%上昇。
- 鉄鉱石価格は引き続き上向き、前週比2%高。冶金用コークスは1.1%高。鉄鋼メーカーが休暇明けの在庫確保に動く中、国内の原材料価格はさらに上昇する見通しとなった。
- 川下需要が回復しない中、鉄鋼メーカーは引き続き出荷価格の引き上げに動いている。品目別の値上げ幅は、条鋼が1トン当たり20-160元(0.4-3.0%)、熱延鋼板が20-100元(0.3-2.0%)、冷延鋼板が50-100元(0.8-1.8%)など。
- 中国国内の粗鋼生産量(平均日産量)は1月半ばに前月を下回ったが、下旬にはさらに減少したとみられている。アンガン・スチール(00347)などの大手が溶鉱炉のメンテナンスを実施したことや小規模メーカーが休暇入りしたことなどが理由。ただ、旧正月明けの2月半ばには、早々に生産量が回復に向かうとみられている。
- 旧正月休暇中の販売活動の停滞が影響し、鋼材在庫は先週、前週比で16.3%増大した。うち条鋼在庫は同27%増、鋼板在庫は同6.7%増。在庫レベルが低水準にあった昨年12月半ばと比べると、現在の条鋼在庫は72%の大幅増。鋼板は7.2%増加した。
- オーストラリアの“コークス炭供給危機”は主に、鋼板生産を主力とする日本や韓国、EUに打撃を与え、短期的には世界全体の鋼板供給に影響を及ぼす見通しとなった。唯一、供給不足分を埋め合わせできる立場にあるのが中国。これにより、1月には国内大手鋼板メーカーの受注価格および受注量がいずれも上向いた
- また、鉄鋼銘柄株価指数は先週、前週比で1.67%高。鉄鉱石資源を保有する銘柄や特殊鋼メーカーがセクター全体の値上がりを主導する一方、中堅メーカーが出遅れた。