2月1日
エジプト情勢が非鉄金属相場の短期的な上値要因に

先週(1月17-21日)の卑金属の国際価格は、米国の量的緩和政策と低金利を背景に上昇。エジプトの政情不安により今後の価格変動リスクが高まっている。中国政府による引き締め策強化への懸念が上値を重くする一方で、米国がゼロ金利政策を据え置くことで世界的に比較的高い流動性が維持されるとBOCIは判断。さらに、春節(旧正月)明けの取引活発化に加え、米国の景気回復による需要拡大が期待されることから、2月以降の国内非鉄金属相場上昇を見込み、A株非鉄金属セクターのレーティングを強気の見方に据え置いている。推奨銘柄には、株洲冶煉集団(600961)、寧夏東方チタニウム(000962)、雲南馳宏亜鉛ゲルマニウム(600497)、江西銅業(600362)、雲南錫業(000960)を挙げた。

キーポイント

  • ロンドン金属取引所(LME)の卑金属価格は先週、総じて値上がりした。特にスズが前週比6.8%高となり過去最高値を記録。鉛は0.3%高と他の非鉄金属に比べて低い伸びを示したものの、ロンドン金価格(1.8%安)の値動きを上回っている。
  • 中国政府の引き締め政策強化への懸念から、国内の卑金属の価格は上値が重く、低水準を維持した。ただ、米国の第2弾量的緩和と低金利を背景に、今後相場が回復に転じる可能性が高まっている。
  • エジプトの混乱が長引けば中東・アフリカ地域が不安定となり、「有事の金」が買われる展開が予想される。一方、インドネシア政府はスズの採掘ライセンスの発行を中止。厳格な価格統制が予想される状況下、市場がスズの供給不足を懸念し、価格上昇につながる見通し。
  • 旧正月を控え、川下の国内非鉄金属業者は事前に在庫を確保した。旧正月期間中は取引業者が旧正月休暇に入るためスポット市場の動きは少ないものの、冶金工場では安定した生産が継続される。
  • LME在庫は先週、まちまちの展開を示した。鉛在庫は上向きを維持し、前週比5.6%増で15年来の最高を記録。先物取引業者がスポット市場に先駆けてポジションを強化する動きが影響した。銅在庫は上向きに転じ、前週比4.4%増。
  • レアアース市場は旧正月の影響で取引が少なかった。チタニウム鉱石、タングステン、アンチモンの供給減で価格が上昇した。
  • 非鉄金属銘柄の株価動向は重い展開で、先週はベンチマークをアンダーパフォーム。CSI300指数の1.79%高に対し、NFM指数は前週比0.32%安で取引を終えた。銅およびスズ関連銘柄が健闘。スズが過去最高値をつけたことが影響している。ゲルマニウム関連銘柄は前週の好調を維持できなかった。