10月13日 A株「中立」
サプライチェーン構築で安全性向上、国内市場が成長回復へ

中国国内の乳製品市場はここ10年間、急速な発展を遂げ、すでに巨大市場に成長した。人口1人当たりの牛乳消費量も大幅な伸びを示した。乳製品セクターは一連の政策や規制措置の施行により、健全かつ安定的な成長軌道を回復する見込み。BOCIは、今後は組織的なサプライチェーンの構築が製品の安全性を大幅に高めるとの見方を示し、原料調達源の拡大や1人当たり消費の伸びが続くと予想。乳製品セクターに対する中立的な見方を継続している。

同セクターの競争の構図は明確で、全国規模の大手メーカー2社、伊利(600887)、中国蒙牛乳業(02319)がマーケットリーダーとなっている。この2社は急成長を遂げる常温保存牛乳市場で圧倒的な強さを持つ。また、地域規模の乳製品メーカーを上回る成長ペースを示しており、BOCIは市場全体の成長回復局面で、特にこの2社が恩恵を受けるとみている。

メーカー各社の製品構成にはそれぞれ大きな違いがあり、今後、競争や開発が一段と白熱化する可能性がある。例えば深セン上場の皇氏乳業(002329)にとって、自社の競争力や高い収益力を支えているのは水牛乳(バッファローミルク)部門。BOCIによると、同社は将来的に製品供給面の問題を克服し、急成長を遂げる見通しという。

乳製品メーカーの成長は、短期的には製品の売れ行きに左右されるが、長期的には組織的なサプライチェーンの充実度がカギとなる見込み。BOCIは、中でも伊利が原料乳生産、乳製品加工、販売の分野でこうした能力を発揮しているとの見方であり、同社の競争力が乳製品セクターで最も高いとしている。

伊利は製品の安全性を確保するため、原料調達源を積極的に開拓している。また、同社は他に並ぶもののない革新性に加え、タイムリーな生産力拡大や適切な配置などの面で優位性が高く、サプライチェーンの面でも競争力が強い。BOCIは市場全体の成長とともに新たな成長局面を迎えるとみて、同社を乳製品セクターのトップピックとした。

一方、BOCIはセクター全般のリスクとして、◇消費者信頼感に影響するような安全性問題の発生、◇牛飼育コストの高さによる業界全体の収益力低下――の2点を指摘している。