10月12日
不動産過熱抑制策の発表で連休後半に取引減少、中期的な政策効果に疑問も

国慶節連休(10月1日-7日)を前に好調だった不動産取引が、その後1週間で減少に転じた。中国政府が第2弾となる不動産過熱抑制策を発表したことが背景。都市別にみると、上海の不動産市況が堅調推移する半面、北京、深センでは新たな抑制策が即効性を発揮した。BOCIは過熱抑制策の短期的な効果を見込みながらも、基本的に金融緩和政策が続く中、中期的な効果については不透明が残るとしている。ただ、不動産バブル防止に向けた中国政府の意志は固く、住宅価格の抑制目標を達成するまでは過熱抑制策を持続するとの見通しを示し、不動産セクターに対する中立的な見方を継続した。

国内17都市における9月27日-10月3日の週の物件取引面積は前週比19.4%増の427万9000平方メートル。一方、10月4日-10 日週の取引面積は同12.9%減の372万5000平方メートル。過熱抑制策の発表を受け、連休前半と後半で明暗を分けた。ただ、取引価格に目立った変化はみられず、主要都市部(1級都市)で小幅の調整がみられる一方、中堅都市部(2級都市)では一段の上昇傾向を示した。

この間の関連政策動向は以下の通り。◇政府当局は5項目の措置を発表し、不動産締め付け策を強化した◇多くの地方が中央政府の規定に従い、住宅購入制限を施行した◇上海市が不動産税導入に向けた法整備を進めている◇中国人民銀行は適度な金融緩和政策を継続する方針を示した◇上海、北京、南京市の低所得者向け住宅供給計画に関する詳細が明らかになりつつある。

BOCIは不動産過熱抑制策が長期的に効果を持続するかどうかは、適切なメカニズムの構築と、近く一部地域で実施される不動産税の試験導入がカギになるとの見方。これまでに実施された不動産信用引き締め策の効果が薄れる中、市場の流動性は依然高く、新たな抑制策の中期的な効果には不透明感が漂うとした。ただ、2011年に新築物件供給の拡大が見込まれることや、中期的な物件需要の後退、在庫物件の増大などが、住宅価格の一段の高騰をある程度抑制するとみている。