9月22日 
国内石炭価格、値動きはほぼ横ばい

先週の国内石炭価格は多くの地域で横ばいを維持した一方、秦皇島の石炭在庫は年初来で2番目に多い836万トンに達した。大秦鉄道の大規模修繕を控え、秦皇島の在庫は徐々に減少するとみられるが、最近の省エネ・温室効果ガス排出削減政策の強化が石炭需要に与える影響が懸念される。ただし、発電用炭の価格は停滞するものの、コークス用炭は供給不足と市場集中により下値余地が限られているとBOCIは判断。コークス用炭やPCI炭を扱う企業をはじめ、今後成長が期待できる石炭銘柄を推奨している。

キーポイント

9月20日の山西高品位炭の秦皇島価格は1トン当たり715元と堅調に推移。大同南部の発電用石炭坑口価格も同450元と横ばいを維持した。同じ日、秦皇島の石炭在庫量は前週比8.9%増の836万トンに達した。霧と雨の影響で外国行きの貨物船の出航が阻まれたことが影響。山西省の小規模炭鉱閉山による供給不足や、大秦鉄道の大規模修繕が在庫の消化につながるとみられるが、政府が推進する省エネ・排出削減政策が石炭需要に影響する可能性も指摘され、秦皇島の石炭在庫は来月も高水準が続く見通し。9月15日の国内沿岸石炭運賃指数は前週比で5.8%上昇したが、BDI(バルチック海運指数)は同期間に11%下落している。9月17日のNEWCインデックス(豪ニューキャッスル港出し石炭価格)は、日本向け豪州産石炭の2011年契約価格が高水準となったことを好感し、前週を4.5%上回る1トン当たり97.1米ドルに上昇した。

鉄鋼製品価格は先週から調整段階に入ったが、原料価格は上昇傾向を維持。鉄鋼在庫は5月21日より安定した減少傾向にある。BOCIは、省エネ・排出削減政策による石炭需要減や、国慶節休暇の到来、在庫増加を背景に、発電用石炭価格が向こう1-2カ月に下落すると予想。ただ、11年上期にエネルギー産業に対する生産総量規制が終了すれば、石炭需要は回復するとみている。また、国内経済が成長を維持し、小規模炭鉱の閉山による石炭の供給不足が10年末に生じる可能性を指摘した。

先週の石炭銘柄インデックスは5.4%下落と、上海深センCSI300指数の2.3%下落を上回る下落率を示した。21日現在、石炭銘柄(A株)は平均で2010年予想PER13.5倍と、H株に比べ15%のディスカウント水準で取引されている。BOCIは、石炭企業の株価がいまだ政府の環境および不動産に対する規制の影響下にあるとみて、強気の投資判断を避けている。しかしながら、調整後の好機は期待されており、成長が見込まれ投資判断の低い企業が推奨銘柄となる可能性が高いとした。特に、コークス用炭の不足と市場の集中が高まることを注視。コークス用炭価格は一般炭価格を上回る値動きが予想されるため、コークス用炭を扱う銘柄を選好している。