9月14日 A株「中立」
主要都市で取引回復傾向が持続、政策警戒感くすぶる

中国の主要都市(1級都市)では先週、不動産取引の回復が続く半面、物件価格指数は6.1%下落し、取引量と価格動向が逆行する形となった。中堅都市の取引状況はまちまち。新たな過熱抑制策が施行されるとの警戒感は今のところ限定的ながら、市場では引き続き政策懸念がくすぶっている。また、銀行システム関連規定をはじめ、これまでに発表された締め付け措置は今後一段と厳格に執行される見通し。さらに利上げ観測が続く中、BOCIは不動産銘柄への反発狙いの投資には慎重さが求められると指摘している。

国内17都市における不動産取引面積は、9月6日-12日週に前週比0.8%増の312万8000平米。17都市のうち10都市で増加傾向を示した。中でも1級都市で力強い伸びが続き、同週の取引面積は前年の週平均値を62.5%上回った。一方、平均価格は低下し、中でも江蘇省蘇州市、福建省アモイ市での下落率が最大だった。

この間に明らかになった不動産統計および関連政策は以下の通り。【1】8月の不動産平均価格は前年同月比9.3%上昇したが、前月比では2カ月連続で横ばい推移。デベロッパーの投資意欲は依然旺盛だった【2】CPI(消費物価指数)上昇率は8月に22カ月ぶり高水準に達し(前年同月比3.5%)、利上げ観測が高まった【3】不動産価格統計の集計法見直しが近く発表される見通しとなった【4】四川省成都市と海南省で住宅賃貸に関する規定が施行された――。

個別銘柄の動向は以下の通り。【1】上海A株上場の保利房地産(600048)、金地集団(600383)が8月の販売統計を発表。大手デベロッパーの市場シェアが拡大した【2】土地市場は先週も盛況で、香港上場企業ワーフ(00004)が上海浦東地区の開発用地取得へ積極的な動きを見せた。また、深セン上場の招商局地産(000024)はアモイや浜江、紹興などで開発用地を取得した。

新たな過熱抑制措置に対する警戒感は限定的ながらも、既発表の措置は今後、さらに厳格に執行される見込み。また、デベロッパーの開発投資意欲は依然上向きで、来年には新築住宅市場に供給過剰感が出る可能性も高まった。こうした中、大手デベロッパーはこれまでの市況停滞を受けた販売戦略の見直しで、市場シェアを急速に拡大させており、この先の物件相場の下落に備えて効率的に資金回収を進めている。BOCIはこうした点から、業界最大手の万科企業(000002、200002)を選好。中堅都市を主力とするデベロッパーの中では栄盛房地産発展(002146)を有望視している。