9月7日 H株「中立」
環境保護目的の減産指示で鋼材価格の一段高を予想、非鉄も在庫減で見通し改善

中国の一部地方政府がエネルギー消費削減目的で鉄鋼メーカーに減産を指示する中、鋼材価格に関する見通しが上向いている。BOCIはもともと10-12月期の需要拡大を見込み、鋼材価格の上昇推移を予想していたが、減産指示という政策要因を受け、鋼材相場に対して一段と強気の見方に転じた。個別ではアンガン・スチール(00347)の株価の先行きに対して強気見通しを維持している。

中国国内の鋼材価格は先週、全面的に上向き、鉄筋およびワイヤーロッドの前週比2.4%高を筆頭に、熱延鋼板が1.6%、中厚板が0.8%、冷延鋼板が0.4%それぞれ値を上げた。一方、輸入鉄鉱石価格は青島港で同0.9%高のトン当たり1180元に達したが、唐山港では逆に2.4%安の1210元と下落傾向を示した。

国内の鉄鋼在庫も先週、減少傾向を見せ、全体で前週比0.5%減の1480万トン(条鋼が同0.6%減の700万トン、鋼板が0.4%減の780万トン)。消費量に基づく在庫レベルは6.9日分と、平均値の5.3日を依然上回ったが、今年2月に記録した9日を下回る水準となった。一方、港湾ベースの鉄鉱石在庫は2.0%減の7320万トン。

鉄鋼の川下需要が依然低調に推移する中、ここに来て鋼材価格の上昇と在庫の減少が見られたのは、一部の地方政府が環境保護・省エネ目的で鉄鋼減産などを指示したため。『中国証券報』によれば、河北省武安市政府はエネルギー消費レベルが抑制基準を満たしていないとの理由で、市内18カ所の製鉄所に最大1カ月間の生産停止を命じた。ほかに山西省が製鉄所向けの電力供給を向こう2カ月間制限するとの情報も伝わった。BOCIによれば、こうした政策は主に中小メーカーの打撃になるとみられ、品目別では条鋼生産部門に相対的に大きな影響が及ぶ見通し。ただ、暫定的な減産・生産停止措置は短期的に鋼材価格を押し上げる可能性が高く、この点でプラスと受け止められている。

一方、非鉄セクターに目を向けると、ロンドン金属取引所(LME)、上海先物取引所(SFE)では先週、大半の非鉄製品価格が上昇した。LMEではアルミニウムおよび鉛価格が前週比3.7%上昇し、他に亜鉛が2.7%、ニッケルが2.6%、銅が2.5%高(錫は同2.2%安)。SFEでは銅が前週比3.4%高を記録し、亜鉛が1.9%高、アルミが0.9%高。世界の非鉄在庫も減少傾向を示し、LMEの銅在庫は0.6%減の39万7675トン、鉛とアルミが各0.4%減。SFEの銅在庫は4.2%減の10万5917トンだった(亜鉛は4.1%増)。また、世界的な景気不透明感を背景に、「資金の避難所」となっている金の価格は先週、0.4%高の1オンス当たり1241米ドルに達した。

BOCIは在庫レベルの低下を受け、7-8月に低調だった非鉄相場が9月に上向くと予想しているが、その一方で、世界的な景気不透明感が上値を抑えるとの見方。個別では招金鉱業(01818)の株価の先行きに強気の見方を示している。