リスクオンがドル円を押し上げる。

先週のドル円レンジ: 112.84円 - 115.36円

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05日(月):ドル円は、東京市場で112円台に下げたあと、114円台後半へ反発。

週明けの東京市場のドル円は、一時112.84円へ大幅下落。
週末行われたイタリア国民投票で、改憲反対派に敗北したレンツィ首相は辞意を表明しました。レンツィ首相の敗北はほぼ予想されていたものの、僅差との予想を出していた世論調査に反して大差がついたことがショックを大きくしました。政治的混乱が、イタリアの銀行の破たんリスクを高めるとの連想からユーロドルは1.0503ドルまで、ユーロ円は118.68円まで急落しました。

しかし、欧州市場に大きな動揺はなく、イタリアの株価が切り返すとともに、国民投票のヘッジ外しが相場も入ると、ユーロドルはあっさり1.06台を回復。NY市場ではさらに1.0796ドルまで、1.08ドルに迫る水準まで上昇。ユーロ円も約半年ぶりの高値となる123.18円まで買われました。

ドル円も、ユーロ円が主導する形で、12月1日の高値に迫る114.77円まで反発。ただ、その後は高値警戒感と利益確定の売りで113円台前半まで急速に下げ足を強めました。終値は113.878円(前日比+0.324円)。
 

06日(火)ドル円は、114円を挟んで小動き。手がかり材料に欠ける。

この日のドル円は、様子見モードが強く113円台半ばから114円台前半の取引が続きました。前日につけたイタリア国民投票後の安値112.84円と、米ISM発表後の高値114.77円のレンジから抜け出すことなく、終値は114.02円(前日比+0.144円)でした。

ユーロドルは、1.07ドル台後半の高値圏を維持できずに、一時1.0698ドルまで下落。今週のECB会合を控えた調整売りが出たようですが、引けにかけては再び1.07ドルを回復しました。今週の会合では、ECBが量的緩和の期間を6ヵ月延長する見方が増えています。しかし、一部の理事が債券購入額の減額を主張するなど意見の対立もあるようで、ユーロドルは神経質な動きが続きそうです。

ポンドドルは、前日の高値を超えて10月4日以来の1.2774ドルまで上昇したあと、1.2656ドルまで大きく下落。またRBAはこの日、予想通り政策金利を1.5%に据え置きました。ただ豪ドルドルの反応は鈍く、0.74ドル半を中心とした取引に終始しました。
 

07日(水):ドル円は、ドル買いの勢い弱まり、114円台半ばが重くなる。

この日のドル円は、114円台が重く、欧州時間につけた114.39円が高値となって、一時113.41円まで下押し。とはいえ113円台も底固く、やや戻して終値は113.75円(前日比-0.264円)でした。ドル買い相場は小休止でも株式市場では相変わらずトランプ相場が続いていて、NYダウ平均とS&Pが過去最高値を更新しています。

イタリア国民投票直後は1.05ドル割れ寸前まで売り込まれたものの、ユーロドルは底固さを見せ、この日は1.0768ドルまで反発。今週の会合でECBが量的緩和による資産購入の半年間延長はすでに織り込み済みで、むしろマーケットは、購入額の縮小などのユーロ高材料に備えているようです。

一方、ポンドドルは2営業日続落。この日の英鉱工業生産指数が予想を下回ったことが売り材料となり、1.26ドル台半ばから一時1.2569まで値下がりました。

オセアニアでは、この日発表された豪7-9月期GDPが大幅悪化。前期比は-0.5%とマイナス成長に落ち込み、前年比は+1.8%と、RBAの見通しを100ポイントも下回る水準となりました。失業率の上昇やコアインフレが伸び悩むならば、RBAは再び利下げに踏み切る可能性があります。

対照的にNZドルドルは上昇。ウィーラー・RBNZ総裁は「現状の金融政策でインフレの2%目標を達成できる見込み」と、利下げサイクル終了を示唆しました。NZドルドルは、0.7100ドルから0.71ドル後半に水準を切り上げています。
 

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08日(木):ドル円は、113円台が底固い。ECBは量的緩和継続、規模は縮小。

ECBはこの日の会合で、資産購入期間を来年3月から12月まで9ヵ月間延長する一方、購入額については来年4月から毎月600億ユーロに減らすことを発表。ハト派とタカ派が折り合いをつけた結果になりました。

ECB発表直後のユーロドルは、資産購入の減額というタカ派的側面に反応して1.0871ドルまで急上昇。しかし、その後のドラギ総裁の会見から、総裁自身を含めECB理事の多数はハト派的スタンスであることがわかると、1.0597ドルまで急反転しました。ユーロ円も、123.33円まで上昇後、NY時間の引けにかけて120.90円まで反落。

一方、ドル円は底固いものの、114円台半ばからの重さは相変わらず。東京時間に113.12円まで売られましたが、ECB後の全般的なドル買いや米長期金利の上昇で114.37円まで戻しました。終値は114.018円(前日比+0.26円)。
 

09日(金)ドル円は、10ヵ月ぶりの115円台に上昇。

ドル円は、この日の海外市場で、2月9日以来となる115円台まで上昇。
東京時間からドル買い地合になっていて、113円台には買いが集まっていましたが、113.99円を安値に114円台半ばが重い状況は変わらず、しばらくこう着状態が続いていました。

ドル買いが加速したのはNY時間の朝で、特別な材料はなかったものの、米10年債利回りが上昇、原油先物は続伸、日経平均が19000円を回復して、米国株式市場が連日の最高値を更新するなど、リスクオン満開のマーケットでドルが買われました。さらに米指標が強かったことも追い風となって、ドル円は115.36円まで上昇。一時114円台に押し戻されましたが、マーケットには達成感よりも買い遅れの焦りが強く、すぐに115円台に買い戻されて、終値も115.258円(前日比+1.24円)でした。

ユーロドルは、ECBが量的緩和の延長を発表してから売りが強まっていて、この日はECB会合後の安値を下抜けて1.0530ドルまで下落。イタリアの大手銀行モンテ・パスキが要請していた増資計画の完了期限延期をECBが拒否したとの報道もユーロの逆風となりました。

一方ユーロ円は、円安に助けられて、東京時間の120.97円を安値に徐々に値を上げ、121.75円まで値を伸ばしました。