ドル円のレンジは100.09円-102.78円。日銀追加緩和なし、FOMC利上げ見送り。

ドル円先週までの動き

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19日(月):ドル円は、102円台が重くなる。イベント控え動きにくい。

東京市場が祝日で休場となった19日月曜日のドル円は上値が重く、東京時間の102.41円を高値にして、海外時間には101.58円まで売られました。終値は、5営業日ぶりの101円台となる101.906円(前日比-0.375円)。

一方豪ドルは堅調。RBA議事録は、豪経済に対してやや強気見通しの内容になるとの期待もあって、0.74ドル後半から0.7572ドルまで値を伸ばしました。
 

20日(火)ドル円は、本日のイベント控え101円台後半で小動き。

20日のドル円は、東京時間午前に、当日高値となる102.06円をつけましたが、すぐに押し戻されて、欧州時間序盤には逆に101.53円まで売られました。終値は101.727円(前日比-0.179円)。

欧州通貨ではユーロとポンドが下落。ユーロドルは、9月8日に1.1326ドルの高値をつけてから、この日は再び1.1148ドルまで押し戻されました。今月1.3443ドル台まで上昇したポンドも、再び1.30ドルを割り、8月16日以来の1.2946ドルまで水準を切り下げています。一方、豪ドルは、0.7529ドルから0.7564ドルのレンジで小動き。この日公表されたRBA議事録には反応薄でした。
 

21日(水):ドル円は、日銀会合後に102.78円まで上昇、FOMC利上げ見送りで100.29円まで下落。

21日のドル円は、日銀会合直後に101円台前半から102.78円まで急騰しました。
日銀はこの日の会合で、上場投資信託(ETF)の年間買い入れ額のうち、2.7兆円については、TOPIX連動ETFを対象とする一方で、当座預金の一部に付与している0.1%のマイナス金利は据え置きました。マイナス金利据え置きを好感して銀行株が買われるなどして、日経平均は300円を超す大幅高。リスクオン効果とショートポジションの手じまいがドル円の買戻しを促しましたが勢いは続かず、黒田総裁の会見中から下落に転じると、100円台半ばまで反落しました。

FOMCは利上げ見送りを7対3で決定しました。金利据え置きは6会合連続。
FOMC声明では、見送りの理由として、「FF金利を引き上げる根拠は強まったと判断するが、当面は、目標に向けて進んでいるという、一層の証拠を待つことに決めた。」ことを理由としています。
会合後の会見で、イエレン議長は年内利上げに含みをもたせました。しかし、FOMCが経済予測で政策金利の見通しを後退させたことや、日銀のリバース・ツイスト・オペによって、日米金利拡大は将来に渡ってかなり緩やかなものになるとの思惑で、マーケットはドル売り・円買いへと傾きました。FOMC後のドル円の安値は100.29円。終値は100.324円(前日比-1.403円)でした。
 

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22日(木):ドル円は、101円手前まで反発。100円割れは回避。

東京市場が休場となった22日のドル円は、東京時間午前には8月23日以来の安値となる100.09円まで売られましたが100円割れは回避。NY時間には100.92円まで戻しました。米利上げペースがより緩やかになるとの安心感で、ナスダック総合指数が過去最高を更新するなど米株価が上昇。リスクオンの動きが円安を後押ししました。

FOMCは利上げを見送りましたが、イエレン議長の発言内容は、十分に「タカ派的」だったという見方もあります。年内利上げについては、17名のメンバーのうち14名が年末までに25ベーシスの利上げを予想していることから、12月はほぼ確定といえそうです。(なお、据え置き派は、エバンス・シカゴ連銀総裁、ブレイナードFRB理事、タルーロFRB理事の3名といわれています。)

円以外の通貨は、ドルに対して上昇。ユーロドルは、1.11ドル台後半から1.1257ドルまで、ポンドは、1.30ドル前半から1.3120ドルまで買われました。ポンドに関しては、フォーブスMPC委員が、「ブレグジットの影響は懸念していたほど深刻ではない」と述べたことも支援材料となりました。

円安との相乗効果で、ユーロ円は112.07円から113.49円、ポンド/円も130.51円から132.27円まで大きく値を伸ばしましたが、日銀、FOMC前のレベルには戻れていません。

その中で豪ドル円は相対的に力強く、高値は77.29円と、日銀、FOMC後の落ち込みをほぼ取戻しつつあります。米金利据え置きによる高金利通貨の豪ドルの再評価、加えてロウ・RBA新総裁はインフレ見通しに楽観的で、RBAの11月利下げリスクが遠のいたことなどが、豪ドル買いの材料になっています。

RBNZはこの日の会合で、政策金利を2.00%に据え置きました。決定は市場予想通り。NZドルの水準に対して、RBNZは声明で「通貨の下落が必要」と警戒したことで、NZドル/円の高値は73.94円までと、豪ドル円に比較して伸び悩みました。
 

23日(金)米ドル/円は、101円近辺で横ばい。

23日の米ドル/円は、はっきりした方向感を示せず、101円を軸としたレンジ取引に終始。東京時間午前につけた101.24円を高値に、欧州時間には100.67円まで下がり安値をつけました。ローゼングレン・ボストン連銀総裁は連銀のホームページで、「利上げ延期は著しい不均衡を生み出すリスクがある」と声明を発表。これを材料に101円台前半まで回復した後は揉みあいとなり、終値は101.015円(前日比+0.255円)でした。


ユーロ/ドルはレンジを抜けられないものの下値は堅く、1.1193ドルを安値に1.1240ドルまで上昇。ユーロ円も、112.87円から113.61円まで値を伸ばしました。

一方で、ポンド/ドルは元気がなく、8月18日以来となる1.2914ドルまで下押し。ポンドに関して特に新しい材料はないものの、フォーブス・MPC委員が否定しているにもかかわらず、利下げ観測が根強いことがあります。また、英政府が、具体的な対策や戦略を持たないまま、EU離脱を急いでいることに不安が募っていることも、ポンド売りに傾かせたようです。


オセアニア通貨も強弱わかれました。豪ドル/ドルが0.76台半ばでしっかりする一方、NZドル/ドルは0.72260ドルまで下落。大きな理由は、中央銀行の金融政策スタンスの違いで、RBAは11月利下げに慎重である一方、RBNZは利下げに前向きなため、豪ドル高・NZドル安の動きが強まっています。

また、今週開催されるOPEC非公式会合での増産凍結合意は期待薄との悲観から、NY原油先物は46ドル付近から44ドル前半まで急落しています。