米雇用統計は9月利上げの決め手にならず。

090601

29日(月):ドル円は、円安スタートも、102円台前半で上値伸ばせず。

週明けのドル円は、102.39円まで円安が進みました。米利上げ期待がドル支援要因になっています。金曜日の米雇用統計でNFP(非農業部門雇用者数)が、予想通り20万人前後の伸びを示すならば、9月の利上げ確率が50%を超えることになるでしょう。

マーケットがもうひとつ注目しているのは、FOMCの直前(21日)の日銀金融政策決定会合です。米利上げと日銀の追加緩和が同時に行われたなら、ドル円に強力な円安パワーが働くと予想され、黒田総裁がこのタイミングを狙って追加緩和に踏み切るのではないかとの見方が増えています。

東京時間午後に高値をつけたドル円は、その後101.82円まで失速。終値は101.877円(前日比+0.064円)でした。ロンドン市場が休場だったせいもありますが、雇用統計を前に早くも様子見モード入りの様相。上値のターゲットは、今月高値の102.83円ですが、その手前の102.50円台からドル売りが並んでいるようです。

また、ユーロドルは1.12ドル台が重く、1.1157ドルまで下押し。ユーロ円はドル円が主導して,今月2日以来の高値となる114.68円まで上昇しました。
 

30日(火)ドル円は103円台前半まで円安進む。米利上げを織り込む動き。

この日101円台後半でスタートしたドル円は、フィッシャー発言などに支えられて徐々に値を伸ばし、海外時間には今月の高値を更新すると、7月29日以来の103.13円までドル高・円安が進みました。終値は102.958円(前日比+1.081円)。一方、ユーロドルは、全体的なドル売りの流れの中に沈み、約2週間ぶりの安値となる1.1131ドルをつけました。豪ドルや、カナダドルなど他の主要通貨も、重要サポートレベルに近づいています。

FRBは年内利上げに強い意欲を示しています。イエレン議長は、ジャクソンホールの講演で意欲を示しましたが、それが十分にマーケットに伝わらなかったとわかると、すかさずフィッシャー・FRB副議長はフォローアップのコメントを入れました。昨日メディアに登場した時も、「利上げについては一度きりとは言えない」などと、利上げを前提とした発言内容と受け取られました。

もちろん、利上げするかどうかは、雇用統計の結果次第ということになりますが、年内利上げに対するFRB内部のコンセンサスは形成されていると考えます。来月のFOMCに向けてマーケットに利上げを周知徹底するための発言が、各連銀総裁から相次ぐことになるでしょう。
 

31日(水):ドル円は6日続伸で103円半ばまで円安。

ドル円は底固く推移。水曜日のような急上昇こそありませんでしたが、雇用統計を前にしたショートポジションの買戻しも見られ、海外時間に103.53円の高値をつけました。終値は6営業日続伸の103.427円(前日比+0.469円)。売りは103.50円から上、102.50円から下には買いが並んでいる模様です。

クロス円も強く、ユーロ円は7月29日以来の高値となる115.43円まで上昇。円安の要素がもちろん大きいのですが、ECBが9月追加緩和を見送るとの見方で全体的なドル売りの流れのなかでもユーロドルが大幅安になっていない面もあります。

資源通貨のカナダドルは対ドルで1.31ドル半ばまで下落。原油価格が下落していることに加え、4-6月期GDPがマイナスに落ち込んだことが理由になりました。GDPは6月の山火事による一過性の落ち込みで、カナダ銀行は、7-9月期はプラスに戻るとの見通しを持っています。しかし、原油価格が本格的に回復するまでは、米国が利上げしてもカナダ銀行が追随する可能性は低く、むしろ利下げに追い込まれるリスクの方が高いとの意見が多いようです。
 

090602

01日(木):ドル円は、104円を高値に反落。米ISMが予想外に悪化。

木曜日のドル円相場は値動きが限られながらも、103.05円を安値に底固く、海外時間には一時103.99円までドル高・円安が進みました。しかし、この日発表された米8月ISM製造業景況指数が49.4と、市場予想より悪かったばかりではなく、景況判断の分かれ目とされる50.0を下回ったことから一転売りが優勢となると、103円前半まで下落。ジャクソンホール以来、新規材料もなく4円近く水準を切り上げてきたので、雇用統計を前にしてポジション調整も入ったと思われます。終値は7営業日ぶりに前日比マイナスの103.239円(前日比-0.188)。

オプション市場の代表的指標である、R/R(リスク・リバーサル)に大きな変化が現れています。R/Rは、オプションの需給によって、マーケットの相場観を判断するインディケーターですが、昨年ドル円が123.70円をピークとして下がり始めて以来、ずっと円高方向のオプション需要が強いことを示していました。それが、今週になって円安方向に転換したのです。円安方向のオプションの需要が高まっているということであり、それだけドル高・円安の相場観が強まっているということを示しています。

欧州通貨ではポンド/ドルが急上昇。1.31ドル台前半から一時1.3317ドルの高値をつけました。ポンド円も135円台前半から138.03円まで跳ね上がりました。ブレグジット後の英製造業PMIが昨年10月以来の高い水準となる53.3まで改善したことが理由で、マーケットではポンド売り持ちが多く、損切りのポンド買いも出た模様です。とはいえ、英指標が今後も強さを保てるのか、一時的な反発に終わるのかを判断するにはまだ時間が必要です。
 

02日(金)ドル円は、104円台へ。米雇用統計は9月利上げの決め手にならず。

米労働省が9月2日に発表した8月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比プラス15.1万人と、市場予想のプラス18万人を下回りました。失業率は4.9%、平均時給は前月比+0.1%と、こちらも弱い内容。インフレ率改善の要となる平均労働賃金が伸びず、また先日の製造業ISMも弱かったことから、9月利上げはなくなったとして、ドル円は103円台半ばから102.79円まで一気に下落しました。

しかし、米経済は利上げできる体力を温存しながら、利上げをゆっくり待てるわけで、株式市場にとってはむしろ好ましい状況。リスク姿勢の高まりが円安を支える一方で、9月利上げの可能性もまだ残っているとの見方による米長期金利上昇を材料にして、ドル円は104.32円まで急速に買い戻されました。終値は104.023円(前日比+0.784円)。

一方、ユーロドルは1.1252ドルの高値を付けた後、1.1150ドルまで下落。ドル円が円安に動いたため、ユーロ円は7月29日以来となる116.36円まで値を伸ばしました。