8月22日-26日のマーケット

ドル円は円安に戻る。それでも102円。

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22日(月):ドル円は、一時101円台手前まで円安。米利上げがテーマに。

週明けのマーケットは、FRB副議長の発言を受けてドル買い優勢のスタートになりました。
フィッシャー・FRB副議長は、「コアインフレ率はFRBが目標とする2%達成にかなり近づいている」、「雇用は2010年を底に目覚ましい伸びを遂げた」と発言。利上げに前向きであることを予感させ、今週最大のイベント、ジャクソンホールのイエレン議長のスピーチに対する期待をさらに盛り上げることになりました。

ドル円は東京時間午後までに100.93円まで上昇。しかしドル高の動きは徐々に弱まり、101円に乗せられずに切り返すと、海外時間には100.20円まで下押し。終値は100.311円(前日比0.14円)でした。

先週公表された、FOMC議事録とECB議事録からは、両中央銀行ともにブレグジットを大過なく乗り切れたという安心感がうかがえました。一方で、インフレ率の低迷は相変わらずであり、FRBにもECBにとっても、最大の懸念となっています。特に欧州では、改善の兆しがほとんど見られないため、一部にはECBが来月にも追加緩和を踏み切るとの予想も出ています。

米国では、何名かのFOMC委員は、インフレの継続的上昇の確証を得られるまで再利上げは見送るべきと主張しています。その一方で、ダドリー・NY連銀総裁などは、9月利上げを支持。今週のジャクソンホールにおける、イエレン議長の講演がどちら側に寄り添った内容になるのかというのが、今週のマーケットの最大の注目点になります。イエレン議長が年1回の利上げを必要と考えているなら、ダドリー連銀総裁サイドに立って、9月あるいは12月の利上げを示唆するでしょう。

23日(火)ドル円は、100円台前半に押し戻される。米利上げは見方分かれる。

ドル円は100円台前半でレンジ取引が続きました。高値は東京時間の100.39円、安値は欧州序盤につけた99.94円でした。終値は100.229円(前日比-0.082円)。今週末ジャクソンホールで行われるイエレン議長の講演が、期待ほどタカ派的な内容にならないだろうとの見方が出始め、ドル買いの勢いが止まっています。

マーケットがドル売りに傾くなかで、欧州通貨は上昇。ユーロドルは、ブレグジット後のPMIが予想以上の良い数字となったこともあり、1.1355ドルまでじり高。またポンドは、今月4日以来の高値となる1.3210ドルをつけました。

NZDは堅調。ウィーラー・RBNZ総裁が講演会で、性急な利下げの必要がないとの見解を示したことが理由。ただし政策が一段の緩和方向を向いていることも同時に強調しています。NZ/ドルは0.7342ドルまで上昇して昨年5月以来の高値を更新。NZドル/円も一時73.47円まで水準を切り上げました。

24日(水):ドル円は、100円台前半から半ばでのレンジ取引続く。

ドル円は動意なく、引き続き狭いレンジの取引となりました。安値は欧州時間の100.09円、高値はNY時間につけた100.60円で、終値は100.445円(+0.216円)でした。

ドル円を100円より円高のレベルでショートにするのはためらいがあり、一方で100.50円より円安のレベルには売りが控えていて上値も重い状況。このレンジ相場は、週末のイエレン議長の講演まで続きそうです。

欧州通貨ではポンドが堅調で、対ドルで8月4日以来のポンド高水準となる1.3272ドルまで上昇。ポンドはユーロに対しても買われ、ユーロドルは1.1245ドルまで売られました。その結果、ユーロ/ポンドのクロスは0.85ドル後半から0.8483ポンドまで値を下げています。

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25日(木):ドル円は、100円台半ばのレンジ取引続く。ジャクソンホールまで動けず。

この日のドル円相場も、100円台半ばでこう着状態が続きました。
複数の連銀総裁から米経済見通しに前向きな発言があったことに加え米耐久財受注がしっかりしていたことが、100.30円で下値を支えました。しかし上値を試す勢いもなく、高値は東京時間につけた100.61円、終値は100.53円(前日比+0.085円)でした。

利上げ時期に関して、市場参加者の多くは12月を予想していますが、イエレン議長は、9月の可能性排除しないでしょう。来週は米雇用統計がありますが、その結果次第では9月利上げに向けた期待が大きく膨らむことも考えられます。

FOMCにとっても、年内少なくとも1回は利上げして実績を残す必要があります。なぜなら今年見送ることになれば、昨年12月の利上げ自体が政策ミスだったということになりかねないからです。

しかし、今年の利上げが必ずしも利上げ継続を確約しているわけではありません。可能性は低いにしても、FOMCが今年をもって利上げを終了するというリスクシナリオも残っています。これはある意味、利上げ先送りよりも深刻です。ドル円にとっては、日米金利差拡大という要素が消滅してしまうと、円安に戻るチャンスはかなり狭まることを覚悟しなくてはいけません。
 

26日(金)ジャクソンホールでようやく102円手前に戻る。それでも102円。

金曜日、海外時間のドル円は、100円割れ寸前から102円目前まで急反発。
市場の注目を一身に集めたジャクソンホールの講演で、イエレン議長は「FF金利を引き上げる根拠がこの数ヵ月で強まっている」と語り、年内利上げに前向きな姿勢を示しました。しかし、ここまではいわば想定の範囲。マーケットが本当に知りたかったのは具体的なタイミングであり、とりわけ9月利上げの可能性についてだったのですが、その点についてイエレン議長は全くヒントを与えてくれませんでした。ドル円は、イエレン議長の登壇直後に100.90円まで急上昇したものの、スピーチが進むにつれて値を下げ、当日安値となる100.05円まで売られました。

イベントが終了して円高ムードが再び強まりそうな気配のなか、フィッシャー・FRB副議長が「イエレン議長が講演で述べたことは、9月を含めて年内に複数回の利上げがあるということ」とインタビューに答えたことが伝わると、ドルが一気に反発。ドル円は当日高値となる101.94円まで急上昇して終値も強さを維持したまま101.813円(前日比+1.283円)で引けました。

ユーロドルは、1.12ドル台前半から1.1339ドルまで上昇して当日高値をつけましたが、フィッシャー発言を受けて1.1180ドルまで急落しました。一方ユーロ円は、ドル円主導で113円台前半から114.13円まで上昇。

オセアニア通貨も、米金利動向に敏感に反応して軒並み急落。豪ドルは週高値0.7690ドルをつけてから週安値となる0.7550ドルまで売られ、NZDも0.7378ドルから0.7219ドルまで値を下げました。