先週のマーケットレビュー(7月11日-7月15日)

ドル円1時間チャート

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11日(月):ドル円は102円台後半まで円安に戻る。投資家心理上向く。

月曜日のドル円相場は大きく円安が進みました。参議院選に勝利した安倍首相は、「総合的かつ大胆な経済対策を実施」することを約束。日経平均が600円超の急反発となったことも、後押しとなりました。円安の流れは海外市場でも引き継がれ、ドル円は一時102.89円まで続伸。前日比ベースの上げ幅としては、4月22日以来最大となる2.273円となりました。ここからは、先週上抜けすることができなかった、102.80円-103.40円のゾーンになります。今月の高値圏103.40円が次の目標になるでしょう。

国内では参院選を自民党の地すべり的勝利と囃し立てていますが、海外では冷めた見方もあって、自民党が単独過半数に届かなかったのは安倍政権に対する信任が意外に少ないからだと指摘する人もいるようです。とはいえ、日本の政権は、他の国と比較して安定していることは事実です。安定感が株高につながり、円安政策の継続の期待となったのが、ドル円上昇の理由ではないでしょうか。

英国では、テリーザ・メイ党首が次期首相になることが決定しました。9月まで続くと見られていた政治的空白が解消されたことがリスクオンを強めた結果、ポンド円は、円安もあって、130円台前半から133.75円まで大幅続伸。離脱派の候補は、ボリス・ジョンソン氏がマイケル・ゴブ氏に敗れ、ゴブ氏はアンドレア・レッドサム氏に敗れました。そして最後はレッドソム氏が党首選を撤退しました。メイ党首は残留支持ですが、国民投票のやり直しはないと表明しています。
 

12日(火)ドル円、2日連続の大幅上昇で105円台に迫る。

火曜日のマーケットは、ドル円、クロス円が大幅続伸。東京時間の朝にいったん102.44円まで下げましたが、その後は日経平均の上昇に合わせて103円を上抜けすると、海外時間には104円台に乗せ、6月24日以来の高値となる104.983円まで上昇しました。NY株が過去最高値を更新するなど、リスク選好モードが大きく改善したことも、ドル高円安を後押ししました。

安倍首相の大型景気刺激策に対する期待が円安のきっかけとなりました。しかし、肝心の内容や規模はまだ白紙の状態で、財源についても、麻生財務相は「今後検討したい」と述べるにとどまっています。実際に経済政策が発表されて、それがマーケットの過剰ともいえる期待に応えられない場合、「セル・ザ・ファクト」となってドル円が急落するリスクも考えられます。ただ昨日については、経済対策のニュースが引き金をひいたショートポジションのストップロスが相場を走らせたようです。

クロス円も上昇。ポンド円は、ポンドが対ドルで上昇したことで、大きく値を伸ばしました。ポンド円の高値は139.47円で、この2日間で9円以上の急上昇となっています。ユーロ/円は、113.27円を安値に116.42円まで上昇。ただ、ユーロがポンドに対して売られたためポンド円ほどの伸びは見られませんでした。
 

13日(水):ドル円は105円を意識してやや足踏み。一時103円台に下落。

ドル円はこの日も堅調地合いを維持しましたが、2営業日続伸した後の調整も入りました。
東京時間に利食いの売りに押されていったん104円を割る場面もありましたが、海外時間に入ると再び買いが優勢に。しかし105円手前は重く、104.88円を高値にUターンすると、当日安値となる103.90円まで下落しました。終値は104.487円(前日比-0.175円)。
 

14日(木):ドル円急上昇、一時106円台に迫る。BOEは金利据え置き。

木曜日のドル円は急上昇。104円台半ばでスタートしたこの日のドル円は、マーケットがヘリコプターマネーや永久国債のニュースで勢いが加速すると、節目だった105円を上抜けして円安が進みました。リスクセンチメントが改善していることや、機関投資家が大量に外債を購入しているとの報告も押し上げ要因となりました。

バーナンキ元FRB議長が、デフレ克服の手段として政府が永久国債(償還期限の定めのない債券)を発行し、日銀が直接全額引き受ける手法を討議したとの報道にマーケットが反応しました。実現性はかなり低いといえますが、円安誘導のために政府が意図的に流していると思われる話に、うまく乗ったところもあると思います。ドル円は105.93円まで上昇しましたが、その後日銀が、ヘリコプターマネーについて、「全く検討していない」と否定したことで勢いが弱まり、105円台前半に押し戻されました。終値は105.392円(前日比0.905円)。
ドル円が105円台で底値固めをできるかどうかがこれからのポイントなってくるでしょう。円安方面は、106.80円まで目立ったレジスタンスはありません。

BOEは、市場予想に反して、政策金利を0.5%に据え置きました。ポンド円は買いが優勢になり、139円台半ばから142.14円まで急上昇。ただし、BOEが今回利下げを見送ったのは、ブレグジットを検証するデータがまだ十分に集まっていないだけです。BOEの警戒態勢が緩んだわけではなく、MPC委員のほとんどは8月利下げを支持しています。
 

15日(金)ドル円は106円台まで円安進むが、トルコクーデターで104円台まで下落。

円安の流れが続くなか、金曜日の米ドル/円は一段と値を伸ばし、東京時間に106.31円の高値をつけました。中国の、GDPをはじめとする経済指標が好調だったことで投資家心理がさらに改善したことが円安につながりました。ただし買い一巡後は、105円台半ばまで押し戻される場面もあり、海外市場では106円を中心とした取引が続きました。

木曜日にBOEが金利を据え置いたことで、やや落ち着きを見せていたポンドでしたが、この日のポンドは下落。
ホールデンMPC委員は、「8月には大幅な金融緩和が必要」と発言。BOEの次回利下げ幅は、50ポイントになるとの懸念が広がるなかで、ポンド/円は、143.25円を高値に137.79円まで急落。ポンド/ドルも、1.3480ドルから1.3128ドルまで下落しました。ホールデン氏は最もハト派色の濃いMPC委員であるため、このような発言は意外ではないものの、週末を控えたポジション調整のきっかけになったようです。

NY時間終了前に、トルコのクーデター発生のニュースが伝わると、米ドル/円は104.61円まで大きく値を下げて、104.815円(前日比-0.577円)で引けました。またトルコリラ/円は、36.50円近辺から34.18円まで急落しました。