先週の動き(6月6日-10日)

ドル円1時間チャート

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06日(月):FOMC、月内利上げ見送りか。ドル円は107円台まで買戻し進む。

月曜日のドル円は、米雇用統計後の急落の調整で、東京時間朝の106.41円を安値に買戻しが入りました。ただし上値も伸びず、イエレン議長発言後の107.65円が高値でした。終値は107.529円(前日比+0.983円)。

FRB早期利上げ観測が急速に後退するなか、イエレン議長は講演で、「5月の米雇用統計には失望と懸念」を示したものの、「単月の結果で判断しない」とも述べました。ただし、利上げ時期については、先月末の「今後数カ月以内に利上げが適切になる可能性がある」から一歩後退した印象を与えました。

FRBは金融政策のサプライズを嫌い、フォワードガイダンスなどを通じ、事前にマーケットの合意を形成することを是としています。イエレン議長が、FOMCを直前に控えて利上げ時期を明示しなかったことは、6月の利上げはほぼ見送りになったと考えてよいと思います。ただし、7月利上げの可能性はまだ残されており、英国民投票の結果や、次回雇用統計を含めた今後の米指標結果を精査して最終判断を下すことになるでしょう。
 

07日(火)ドル円は緩やかに円安に戻る。ただし上値も重い。

月曜日のイエレン議長の慎重発言でFRBが今月利上げする可能性はほぼゼロになりました。とはいえ、7月利上げのチャンスもまだ残されているため、円高に大きく振れることもなく、逆に先週末の雇用統計後の安値からの買戻しが継続しました。ドル円は欧州時間に107.90円まで上昇しましたが、昨日は米指標の発表もなく、新材料不足の状態から上値も限定的。その後は107.14円まで反落して終値は107.378円(前日比-0.151円)でした。

RBAはこの日会合を開き、政策金利を1.75%に据え置きました。声明では、「インフレ率は引き続き低水準」としながらも、第1四半期GDPの強い結果を背景に「最近の経済指標は経済の成長が継続している」と強気な見通しが示されました。一部で囁かれていた8月利下げの可能性が低まったとして豪ドルに買いが集まり、豪ドル/円は79円前半から80.31円まで大きく上伸。終値は80.074円(前日比+0.835円)でした。
 

08日(水):ドル円は上値の重さを確認、やや円買いが進む。レンジの下限を探る動きへ。

水曜日のドル円はやや円買いが優勢。週初からの(先週末の雇用統計後からの)買戻しが一巡して、108円手前の重さを確認した後はレンジの下限を試す方向に動きました。

日本の大手銀行が、プライマリーディーラーの資格を返上するとのニュースで、東京時間のドル円は106円台に下落しました。メガバンクが日銀のゼロ金利政策に対して明らかな不満を表明したと衝撃が走りましたが、系列の証券会社は引き続きプライマリーディーラーの資格を維持することから、完全撤退ではなく国債取引の窓口を一本化する措置にすぎないとの見方もできます。とはいえ、他の大手銀行も追随することになれば、今後の国債の安定消化に影響が出る可能性があります。ドル円はその後海外時間に106.59円まで売られた後、106.980円(前日比-0.398円)で引けました。

一方、リアルマネーやインデックスファンドなどが商品相場へマネーをシフトする動きが活発化しており、原油価格は年初来高値の51ドル台へ上昇、金価格も急伸しました。堅調な商品価格は、豪ドルやNZドルのサポート材料にもなっています。RBNZは今朝、政策金利を一部利下げの予想に反して2.25%に据え置くことを発表しました。また声明ではインフレに対して強気見通しを示したことでNZドル/ドルは、約1年ぶりの高値となる0.7121ドルまで急騰。NZドル/円も4月29日以来の高値となる76.11円まで上昇しています。
 

09日(木):ドル円はレンジの下限を確認後、107円台に戻す。

週前半に雇用統計後の高値となる107.90円まで上昇したドル円は、上値の重さを確認して折り返すと、この日はレンジの下限を探る動きとなりました。

中曽日銀副総裁が講演で、「マイナス金利が金融機関の収益面だけでなく、取引面やシステム面などでさまざまな影響が生じている」、「大規模な国債買い入れが、かく乱的な影響を与えている」など、日銀緩和政策の副作用を認める見解を示したことにマーケットが反応。日本の大手銀行が、マイナス金利政策による国債の運用難を理由にプライマリーディーラーの資格を返上する動きもあることから、今月の日銀会合での追加緩和の可能性は低くなったとして、ドル円が売られました。

ドル円は欧州時間に、5月4日安値水準の106.24円まで下げてレンジの下限とした後は、買戻しが優勢になり、NY時間午後には107.17円まで反転、この日の高値をつけました。終値は106.98円(前日比-0.398円)。

ユーロドルは、約1ヵ月ぶりの高値となる1.4115ドルまで上昇後、反落。1.1305ドルまで下値を切り下げました。英国のEU離脱は、ユーロ圏にもマイナスの影響を与えるとの懸念が、ユーロ売りの材料となりました。ドル円とユーロドルが共に下げたことで、ユーロ円は大きく下落。安値は120.32円と今年の安値を再び塗り替え、2013年4月以来のレベルに迫りました。

一方、RBNZの金利据え置きと、インフレに対する楽観見通しで急上昇したNZドル/円は勢いを保ち、76.34円まで高値を更新しました。
 

10日(金)欧州クロス円が約3年ぶりの円高水準。英EU離脱懸念の高まりで。

調査会社ORBが英紙インディペンデントの依頼で行った世論調査で、EU離脱支持が55%と、残留支持の45%を10ポイント上回る結果になったことから、NY市場でポンドが急落。ポンド円は、当日高値から3.50円以上値を下げ、2013年8月29日以来となる151.38円の安値をつけました。影響はユーロにも及び、ユーロ円は119.90円まで、2013年4月4日以来の119円台をつけました。

投資家のリスク回避姿勢が強まるなか、世界の主要株価は続落。また債券市場では、日本やドイツ、英国の10年債利回りが過去最低を記録し、米10年債利回りは一時、1.627%と約4カ月ぶりの低水準をつけました。

ドル円は107円を中心とした取引が続きましたが、リスク回避の円買いの動きが強まると、一時106.55円まで下落。終値は106.91円(前日比-0.162円)、週のレンジは106.24円から107.90円でした。