先週のドル円の動き(5月23日-27日)

ドル円1時間チャート

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23日(月):ドル円は109円前半まで下落。日米間の為替認識にギャップ。

月曜日のドル円は、先週金曜日とは逆にドル売り・円買いが終日続きました。110円台でスタートしたドル円は、東京時間の日経平均の大幅安に連れて109円台へ押し下げられると、NY時間には109.11円まで下落。終値は109.234円(前日比マイナス0.918円)。円安と株高がお互いを支えてきた相場に、週末の米財務長官の発言が水を差しました。

ドル円が一時105円台まで下落して以来、麻生財務相は、「当然介入の用意がある」とたびたび牽制発言を行い、これが円高の心理的な歯止めになっていました。
しかし、ルー・米財務長官は、G7財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、「為替を無秩序な状況とするためのバーは非常に高い」との見方を示したことで、現時点での為替介入は米国の理解を得られないことが明らかになりました。ルー・財務長官はさらに、「為替政策について、相互に連絡を取り合うことで合意した」と語り、日本当局の、「為替介入は、(米国に)手足を縛られない」との考えも間接的に否定。このことが投資家心理を後退させ、株安、円高につながったと考えられます。とはいえFRB利上げ観測も強く、週末には大幅上方修正の期待がかかる米GDP(改定値)の発表も控えているため、一方的に円高が進む地合いでもないと考えます。
 

24日(火)ドル円、110円に戻す。109円台の底固さを確認。

火曜日のドル円は東京時間午後に109.16円まで下げたものの、その後反発。欧米の株高や、堅調な原油価格がリスクオンの円安となって、NY時間には110.12円まで上昇しました。米4月新築住宅販売件数が、約8年ぶりの高水準となったことも、米消費の強さを示すとして好感されました。終値は109.979円(前日比+0.745円)。ドル円は、109円台での底固さを確認したことになりましたが、110円台はまだ不安定といった状態で、定着するには新たな支援材料が必要と思われます。

カーニー・BOE総裁はじめMPC委員は、ブリグジットに対する懸念を表明。経済成長やインフレ率の伸び悩みはEU離脱に対する不安が原因との見解を示しました。しかしその一方で、EU残留の場合は状況が好転すると語ったとされます。最近の世論調査はEU残留が優勢なことから、国民投票後のBOE利上げもありえるとしてポンド買いが優勢に。ポンド円は158円前半から急上昇して160円台前半まで戻すと、米指標発表後には、5/20の高値に並ぶ161.04円の高値をつけました。

東京時間の豪ドルは、RBA総裁の発言を受けて下落。スティーブンス・RBA総裁が「インフレ率はやや低すぎる」と述べたことが再利下げの期待を高め、豪ドルは79.05円近辺から一時78.29円まで値を下げました。ただ、その後はドル円の上昇に助けられて、再び79円台に戻して引けています。
 

25日(水):ドル円は新規材料待ちで110円前半のレンジ取引。

水曜日のドル円は、東京時間日中の109.86円を安値としてNY時間には110.44円まで上昇しましたが、5/20の高値(110.58円)は超えられず、終値は110.206円(前日比+0.227円)でした。FRB利上げを日々織り込みながらも、新材料は乏しく、110円台前半でのレンジ取引が中心となりました。

ポンドは堅調な動き。最新の英世論調査は、全てEU残留支持派が離脱派をリードする結果になり、ブリグジットリスクが後退していることから、ポンドの買戻しが続いています。ポンド円は4月28日の高値に迫る162.53円まで上昇。

一方ユーロドルは頭が重く、重要なサポートを下に抜けて、3月16日以来の安値となる1.1128ドルまで下落しました。ユーロがポンドに対して売られていることも大きな理由です。ユーロ/ポンドのチャートは、典型的な天井形成のパターンであるヘッド・アンド・ショルダーを描き、ネックラインを下抜けして2月4日以来の安値となる0.7563ユーロまで下落しています。

カナダ銀行は、政策金利を現行の0.5%に据え置きました。据え置きは市場予想通り。アルバータ州で発生した大規模な山火事で、一部ではサプライズ利下げに対する警戒もありましたが、カナダ銀行は声明において、山火事の影響が第2四半期GDPを押し下げるものの、第3四半期には回復するとの見通しを示しました。利下げ可能性が遠のいたことに加え原油価格が50ドルに迫ったこともカナダドルの買い要因となり、カナダドル/円は83円台後半から84.64円まで急上昇しました。
 

26日(木):新規材料待ちで110円前半のレンジ取引続く。

水曜日のドル円は、東京時間日中の109.86円を安値としてNY時間には110.44円まで上昇しましたが、5/20の高値(110.58円)は超えられず、終値は110.206円(前日比+0.227円)でした。FRB利上げを日々織り込みながらも、新材料は乏しく、110円台前半でのレンジ取引が中心となりました。

欧州通貨ではポンドが堅調。最新の英世論調査は、全てEU残留支持派が離脱派をリードする結果になり、ブリグジットリスクが後退していることから、ポンドの買戻しが続きました。ポンド円は4月28日の高値に迫る162.53円まで上昇。
一方ユーロドルは頭が重く、重要なサポートを下に抜けて、3月16日以来の安値となる1.1128ドルまで下落しました。ユーロがポンドに対して売られていることも大きな理由。ユーロ/ポンドのチャートは、典型的な天井形成のパターンであるヘッド・アンド・ショルダーを描き、ネックラインを下抜けして2月4日以来の安値となる0.7563ユーロまで下落しています。
 

27日(金)ドル円は110円台半ばで底固い。イエレン議長は早期利上げ否定せず。

G7を終えた金曜日のドル円は、109円台後半を中心にレンジ取引をしばらく続けました。NY時間に入り、第1四半期米GDPが市場予想に届かなかったことから、一時109.47円まで下げ幅を広げましたが、イエレン議長の発言で6月または7月の利上げ可能性が高まったとして反転上昇すると110.44円の当日高値をつけました。

この日イエレン議長はハーバード大学で講演を行い、「今後数ヵ月内の利上げが妥当」との見解を示しました。とはいえ利上げを決定づけるようなインパクトには欠け、ドル円は5月20日の高値(110.58円)は更新できずに、110.303円(前日比+0.559円)で取引を終了しました。