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日米欧中央銀行の2017年見通し

2016/12/21
FRB(米連邦準備制度理事会)は12月14日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場の予想通り0.25%の利上げを決定しました。政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25~0.50%から0.50~0.75%に引き上げました。
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FRB(米連邦準備制度理事会)は12月14日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、市場の予想通り0.25%の利上げを決定しました。政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25~0.50%から0.50~0.75%に引き上げました。同時にフェデラル・ファンド(FF)金利の見通しと経済見通しを発表しました。マーケットが反応したのは、FF金利の2017年の見通しが9月時点の年2回利上げ見通しから年3回の利上げ見通しになっていた点です。ドル円は、予想よりタカ派的見通しと捉え、115円台から117円台に急伸しました。下表がその見通しの予想中央値です。前回9月の予想では2017年末は1.125%でしたが、今回は1.375%に上昇しています。0.25%刻みの利上げとすると、0.75%から3回利上げして1.50%になるため、1.375%の中央値予想では、今後0.25%刻みで3回の利上げが必要という見方です。

この1.375%の予想中央値という数字は、下表の2015年12月時点の2016年末予想と同じ数字です。つまり、1年前の2015年12月に利上げした時点では、1年後の2016年末までに4回利上げする見通しが多かったということを示しています。その見通しが、その後の3カ月毎の見通しでは、1.375→0.875→0.875→0.625と低下していったという点は注目しておく必要があります。

フェデラルファンド(FF)金利見通し(政策金利)の予想中央値

イエレン議長は今回の利上げ見通しを上方修正した背景について、「わずかな修正にすぎないが、数人の参加者が、経済の見通しに(トランプ次期政権で)想定される財政政策の変化を反映させた」と説明しています。イエレン議長は同時に「政策の内容と影響は推測できない」と述べていますが、参加者の一部は景気が更に過熱し、追加利上げを後押しすると見込んでいるようです。

ところが興味深いのは、FOMC参加者によるGDP見通しです。利上げ見通しを上方修正したにもかかわらず、下表の通りGDP見通しは前回とほとんど変わらない見通しとなっています。次期政権の財政政策で景気が過熱するかもしれないという見込みは、金利見通しには反映させてもGDP見通しでは、政策の内容が推測出来ないため反映させていないということでしょうか。年が明け、政策の内容が明らかになるにつれて、もし、金利見通しが昨年のように下方修正されていくのなら、今回急伸したドル円の伸びしろ部分は剥げ落ちていくことになるかもしれません。

FOMC参加者によるGDP見通し(10‐12月期の前年同期比伸び率)

日欧中央銀行の見通しも横ばい

日本と欧州の中央銀行も経済見通しを3カ月毎に発表しています。ECB(欧州中央銀行)は12月8日のECB理事会で量的緩和の期限延長(9カ月延長、2017年12月末まで)と買い入れ額の縮小(200億ユーロ減らし毎月600億ユーロ)を決定しました。理事会後の記者会見では、緩和を縮小する「テーパリング」の局面に入ったのかとの質問に対して、ドラギ総裁は「そんな議論はしていない」と一蹴しましたが、苦渋の政策変更です。

政策変更と同時にECBスタッフによる経済見通しを発表しています。下表の通り3カ月毎の発表を時系列で見てみるとよくわかるのですが、欧州景気は底を打ったと言われていますが、ECBの見通しは毎回ほとんど横ばいとなっています。またインフレ率も原油の上昇から上向きの見通しとなっていますが、しかし、2019年になってもECBの物価目標である2%近辺には及ばない1.7%という見通しとなっています。にもかかわらず、買い取り額を縮小する決定は、ECBの意図が読み取りにくい決定です。ドイツ国債が品薄のため減らさざるを得ないという内情や、従って買い取る国債の条件も緩和したとのことですが、金融政策の限界を感じさせる決定でした。

ECB発表の「スタッフ見通し」によるユーロ圏経済見通し

日銀も3カ月毎に展望レポートとして発表しています。直近は11月1日公表の見通しであるため、トランプ次期政権の政策は反映されていませんが7月時点と同じ見通しとなっています。物価は2018年度になっても2%には届かない見通しとなっています。次回展望レポート公表は来年1月31日。トランプ新大統領就任後であり、政策の影響がどのように反映されているか注目です。

このように中央銀行の見通しを時系列で並べて見るとよくわかりますが、金融緩和の効果はほとんど見られなくなっていることがわかります。金融政策の限界と財政の出動期待という局面に世界は入りつつあるようです。

展望レポート

日銀政策委員のGDP見通し(中央値、対前年度比、%)

日銀政策委員の消費者物価指数(除く生鮮食品)見通し(中央値、対前年度比、%)

※消費税引き上げの影響を除く消費者物価指数

これまでの日米欧の中央銀行の見通しをまとめると以下の通りとなります。これにIMF、OECD,欧州委員会、日本政府の直近の見通しを加えたのが以下の表です。FRBとECB、OECD、日本政府の見通しはトランプ勝利後の見通しです。

日米欧中央銀行と国際機関の2017年GDP見通し(%、日本は年度見通し)

この表を見ると、2017年の米国の成長は2%超の見方が多いことがわかります。トランプ政権は10年平均3.5%の成長を公約していますが、現時点では遠い数字です。ユーロ圏は高くて1.7%の成長で今年より減少、日本は日銀、政府見通しは1%前半と国際機関よりも高い見方をしていることがわかります。この見通しをみている限り、来年の金融政策は緩和状態が続き、タカ派色が強くなってくるとはなかなか思えません。

このように、中央銀行の見通しを時系列で並べてみる見方と国際機関の見通しを並べてみる見方を縦糸と横糸のように組み合わせていくと、よりその姿が浮かび上がってきます。新聞やネット情報は一時点の情報しか流しませんが、ひと工夫加えるとこれらの情報に広がりが出てきて、その真実に一歩近づくことが出来ます。いろいろ試してみて下さい。

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