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英国の経済見通し(インフレレポート)

2016/8/10
英国の中央銀行であるイングランド銀行( BOE The Bank of England )は、8月4日の金融政策委員会で0.25%の利下げを決定しました(0.5%→0.25%)。利下げは2009年3月以来7年5カ月振りの利下げで、リーマンショック後の景気悪化以来の出来事です。
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英国の中央銀行であるイングランド銀行( BOE The Bank of England )は、8月4日の金融政策委員会で0.25%の利下げを決定しました(0.5%→0.25%)。利下げは2009年3月以来7年5カ月振りの利下げで、リーマンショック後の景気悪化以来の出来事です。BOEのカーニー総裁は記者会見で、6月23日のEU離脱を問う国民投票で離脱決定となった影響を考慮して決定したと説明しました。

国民投票直後の前回7月の金融政策委員会では、利下げを支持したのは9人の委員の内1人だけでしたが、今回は全員一致で利下げを決定しました。カーニー総裁は「緩和策を導入しなければ、英経済の成長率はさらに下がるはずだ」と、金融政策の効果を強調しましたが、今回発表した経済見通しでは、来年2017年の成長率を緩和策導入後でも大幅に下方修正しました。7月の金融政策委員会では、9人の内、8人はまだ離脱の影響を強く認識していなかったのですが、景況感の悪化を示す経済指標が相次いで発表されたため、わずか1カ月でその認識は大きく変わりました。緩和をしても来年の成長率見通しを大幅に下げるほどの認識に変わったということです。さらにカーニー総裁は追加利下げの可能性も示唆しました。しかし、マイナス金利の導入については、「あまり好きではない」という表現で慎重な姿勢を示しています。マイナス金利導入後の欧州や日本の金融機関への影響を理解した上での発言だと推測されます。

英国の経済見通し(GDP成長率)は、2016年2.0%、2017年0.8%と、前回5月より2016年は変わらず、2017年は1.5%の下方修正としました。この経済見通しは、「インフレ報告( Inflation Report )」と呼ばれ、BOEが四半期毎(2月、5月、8月、11月)に英国の景気・物価見通しをまとめた報告書を公表しています。金融政策の方向性を示唆する資料として市場の注目を集めており、また、金融政策委員会での決定にも大きな影響力があります。金融政策の変更はインフレ報告が発表される月に行われることが多いようです。

IMF経済見通し

IMF(国際通貨基金)は先進国、新興国の経済成長率を3カ月毎(1月、4月、7月、10月)に発表しており、マーケットでは大変注目されています。なぜなら、各国政府や中央銀行の経済見通しはバイアスがかかりやすく、政策の都合のいいように、あるいは政治家の圧力によって、民間エコノミクスと比べてもずれることが多いからです。その点、IMFは中立の国際機関であることから、各国政府のバイアスがかかっていないため、より実態にあった成長率予測として参考になります。(第41回「世界経済見通し」2015年3月25日付、第40回「IMFと世界銀行」2015年3月18日付参照)

EU離脱決定後の英国の経済見通しについて、IMFはどのように予測しているのでしょうか。7月19日にIMF(国際通貨基金)は最新の世界経済見通しを発表しました。EU離脱の影響を考慮した予測となっています。下表は、日米ユーロ圏・英国と中国、ロシア、インド、ブラジルの2016年と2017年の経済見通しを、前回4月の見通しとの修正幅とともに表しています。

IMF世界経済見通し(2016年7月時点 %)

まず、世界全体は2016年3.1%、2017年3.4%と2017年の方が今年よりも成長すると予測しています。しかし、4月予測よりもそれぞれ0.1%の下方修正となっています。IMFの説明によると、もし、Brexitが選択されなかったら今年の成長率予想を概ね据え置き、2017年についても0.1%上方修正する予定であったとのことです。今年は、ユーロ圏の経済状況が予想を上回るパフォーマンスで、米国の期待外れな第1四半期の成長を相殺しており、また、2017年についてもブラジルとロシアを中心に新興市場国経済の状況が改善していたためだ、と説明しています。上表によると、2016年の米国予想は0.2%下方修正されていますが、ユーロ圏は0.1%上方修正されており、2017年についてはロシア、ブラジルが2016年も含めて上方修正されているのを確認することが出来ます。

Brexitを選択した英国はどうでしょうか。2016年1.7%、2017年1.3%と4月時点よりも0.2%、0.9%の下方修正となっています。2017年の0.9%の大幅な下方修正は先進国中最大の下方修正であり、EU離脱後の影響を反映した予測となっています。来年の方が減速するとの見方はBOE(イングランド銀行)と同じですが、BOEの来年の見通しは0.8%とIMFよりも厳しい見方をしています。IMFよりも中央銀行の方が厳しい見方をしていることは珍しい予測ですが、BOEの今年の見通しはIMFよりも甘い2.0%となっています。やはり、足元の予測はBOEを取り巻く環境を考慮し甘くなっているのかもしれません。しかし、BOEは更なる利下げの可能性を示唆しているため、今年も含め、来年の予測も更に下方修正される可能性があるかもしれません。IMFも次回以降の見通しでは、英国について下方修正を余儀なくされるかもしれません。

日本はどうでしょうか。2016年0.3%、2017年0.1%と来年の方が減速となっていますが、4月時点の予測と比べると、2016年は0.2%の下方修正ですが、2017年は0.2%の上方修正となっています。2016年の下方修正は、英国のEU離脱の影響によって円高が進行し、成長が抑制されるからだとIMFは説明しています。そして、2017年の上方修正は、消費税引き上げの延期が決定されたことによると説明しています。いずれも、やはり、日銀の見通しより厳しい見方になっています。日銀は7月に修正し、2016年は下方修正して1.0%、2017年は消費税延期によって上方修正し1.3%となっています。物価見通しも甘いですが、成長率予測もまだまだ甘いかもしれません。ちなみに政府見通しは1.7%から下方修正して0.9%となっています。日本政府や日銀の見通しがIMFの見通しに近づくのか、IMFが上方修正するのか今後の予測に注目です。

IMFの今後の日本経済の見方は、Brexitの影響によって円高が進行し日本経済が減速するとの見方です。もし、英国経済が現時点の予測よりも更に悪化し、追加利下げが行われるのならば、ポンドは更に下落し、ポンド円も更に下落する可能性があります。そして、円高も更に進行するというシナリオになります。この見方は、日米金融政策の要因を考慮していない見方ですが、今後のドル円のシナリオを考える上でひとつの見方として頭に入れておく必要があります。Brexit以降、新聞やTVニュースで英国に関する記事が増えてきています。Brexit後の金融・株式市場のパニックは落ち着きましたが、今後も英国の経済、政治動向にもアンテナを張っておく必要があります。

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