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Brexitショック

2016/7/6
英国の国民投票から約2週間が経ちました。パニック市場だった株式・為替市場もようやく落ちついてきたようです。しかし、ポンドドルやポンド円は投票前の水準と比べるとはるかに安い水準に位置しています。
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英国の国民投票から約2週間が経ちました。パニック市場だった株式・為替市場もようやく落ちついてきたようです。しかし、ポンドドルやポンド円は投票前の水準と比べるとはるかに安い水準に位置しています。ドル円もポンドほどではないですが、投票前の水準には戻っていません。また、当面の不安は落ち着いても先行きの不透明感から、全般的に金利が低下しており、今後の実体経済に与える影響を物語っているのかもしれません。

英国のEU離脱は、2008年のリーマンショックと比べられがちですが、リーマンショックは金融機関を直撃した金融事件であり、英国のEU離脱は政治事件です。政治事件だったプラザ合意に近いですが、プラザ合意はG7各国の合意の上での出来事であり、今回のように当事国の英国も先行きが見えない出来事とは本質的に異なっています。予想外の結果に、市場はパニックになりましたが、Brexitショックはこれから大きな政治的地殻変動が起こり、しかも長く続く可能性が高そうです。いまだ情勢は流動的であり、混とんとしていますが、現時点での状況を整理しておくことは、今後のシナリオを描くためにも役に立ちます。

英国政府

  • キャメロン首相が辞意表明し、EUとの離脱交渉は次期首相に委ねる
  • 次期保守党・党首選は5氏が立候補。9月9日に選出予定。新首相は10月初めに就任予定
  • 離脱派の旗振り役だったボリス・ジョンソン前ロンドン市長は不出馬
  • 候補の内、EU残留派だった女性閣僚メイ内相(59才)がリード
  • メイ内相は「国民投票の再実施はない」と明言し、また「年末まで離脱を通告しない」とも明言
  • EU離脱派の急先鋒、英国独立党のファラージ党首が党首を辞任。「離脱派の勝利で政治的目標は達成された」と説明。EU拠出金を社会保障に充てるとの公約を撤回し批判が高まっていた
  • EUに離脱通告後、脱退交渉期限は2年。2018年秋までは現在の関係に変化が出ない可能性もあるとの見方もある

EUの対応

  • EUは事前協議はしないと表明し、速やかに離脱通告を要請
  • 単一市場のアクセスは望むが、移民受け入れは制限という「いいとこどり」は許さないとの厳しい姿勢
  • 厳しい姿勢の背景は、EU加盟国のドミノ離脱を警戒

G7の対応

  • 国民投票の翌日24日にG7(日米欧先進7か国)は緊急の電話会議を行い、共同声明を発表
    「G7の中央銀行は流動性(資金)を供給するための手段を用いる用意がある」
    「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済、金融の安定に悪影響を与えることを再認識する」
    「引き続き市場の動向と金融の安定を緊密に協議し、適切に協力する」
  • スイス中銀はG7ではないが、スイスフラン売りの大規模介入を実施

国民の反応

  • 投票結果は、若い世代が「残留支持」、高齢層が「離脱支持」
  • 18-24歳は73%が「残留支持」。老人が若者の将来を奪ったと若年層は不満
  • 52対48という僅差だが重たい結果に後悔する人が多く、Bregretという言葉が飛び交う
    (Britain英国+Regret後悔 )
  • 再投票を求める英議会への請願の署名が400万人以上

英国分断の動き

  • ロンドン市のイギリスからの独立を求める声が10万人以上
  • スコットランドは英国からの独立機運が高まり、住民投票の再実施も
  • 北アイルランドは、EU加盟の隣国アイルランドとの統合を求める声も
  • 国内では移民への差別意識が強まる傾向
  • 国民投票の過程で親EUvs反EUはさまざまな社会層の分断を浮き彫りに
     エリート(支配層)vs一般庶民、富裕層vs低所得層、若年層vs高齢層、反移民vs移民

欧州各国の反応

  • 英国国民投票後の26日のスペイン総選挙では、反EUの急進左派は伸び悩み第3党に
  • スペイン総選挙は、英国民投票の直後だったため安定志向だったが、各国政府は反EU政党の伸長を警戒、2017年4-5月フランス大統領選挙、2017年8-10月ドイツ議会選挙

国際関係

  • 米国は、EUの窓口だった英国の離脱によって、対EUとの関係構築を模索
  • 欧州分断によってロシアが優位になる可能性

経済への影響

  • 企業、投資家は「ヒト、モノ、サービス、カネの移動の自由」に対して慎重姿勢に
  • 人材流出(Brexit=Brain+Exit)、対英国の貿易減少、投資見合わせ、ポンド安による物価上昇、旅行客減少とじわじわと実体経済に影響
  • EU域外の金融機関の多くは、ロンドン「シティー」に欧州の拠点を置いて、他のEU加盟国に支店網を広げている。これは、EU域内のいずれかの国の監督当局から免許を取れば、他の加盟国でも業務が認められる「シングルパスポート・ルール(単一免許制度)」によって可能。EUから離脱すれば、この制度が適用できなくなる可能性があるため、特に金融機関は離脱後の対応に素早く動く可能性も
    →HSBC銀行は英国の従業員約48,000人の内、最大1,000人をパリに配置転換の方向
    →通信業の英ボーダフォンは「自由」が損なわれた場合、ロンドン本社の英国外移転を検討

経済への長期的な影響

  • EU離脱による短期的な経済への影響だけではなく、英財務省やIMF、OECDなどは、EUとの交渉に係る時間や結果によって、今後数年間で起こる経済の影響を試算
  • 英財務省の試算〈5月〉
    「今後2年間で経済規模は3.6~6%縮小し、50万人が職を失い。賃金は3%近く下落」
  • IMF(国際通貨基金)の試算(6月)
    「今年から経済成長率が急減速し、2017年にはマイナス0.8%に落ち込むと予測。離脱しなかった場合と比べ経済規模は2019年までに5.6%縮小し、失業率は6%に上昇、財政赤字は拡大する」また、「英以外のEU加盟国の域内GDPが2018年に0.2─0.5%押し下げられる
  • OECD(経済協力開発機構)の分析(4月)
    「EU離脱の場合、2020年の英国のGDPは加盟を継続した場合より3・3%少なく、これは1世帯あたり2,200ポンド(約34万2千円)の損失に相当」「さらに、2030年にはGDPの減少幅は5・1%に広がる

以上が現時点での状況ですが、情勢は流動的であり、毎日のように事態が変わってきています。株や為替もパニック売りは一巡しましたが、先行きの経済への影響を見据えながら、これから長期的なトレンドを形成していくこととなります。短期的な相場シナリオや長期的な相場シナリオを考えていく上で、今後も新聞やTVニュースなどに注目し、ここに挙げた項目ごとに事態の展開を追いかけていくことが重要になってきます。

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