まずは夫婦それぞれのアカウントの運用方針を切り分けてみる

夫婦の資産運用を一元化する、という理想像の実行が難しいと仮定したうえで、シンプルな「夫婦の証券口座管理」を考えるなら、投資対象や運用方針が切り分けられている状況が考えられます。

例えば妻の証券口座はETF等を用いたインデックス運用を前提にしており、夫の証券口座は個別銘柄を中心としてアクティブに売買をする、というようなすみわけをしてみます。

もっとシンプルにシェアするなら妻は個人向け国債やMMF等の債券運用を中心にし、夫は株式投資をするようなすみわけもあるでしょう(もちろん夫婦が逆でもかまわない)。

このとき、夫婦それぞれの性格や投資スタンスが反映されることが前提です。そもそも株式投資をしたくない妻に回転率が高い売買を担当させるようなすみわけは無意味どころか悪影響が出てくることになります。

運用方針だけでなく資産ウエートのすみわけも意識する

運用方針のすみわけを夫婦で合意しても、それぞれの資産ウエートの配慮が伴わなければ全体としての効率化にはつながりません。もう一歩考えてみます。

具体的には「夫婦の合計資産に占めるリスク資産シェア」についてのコンセンサスを作り、「リスク資産シェアを夫婦それぞれの口座に振り分ける」ことを話し合ってみるといいでしょう。

個人ベースだと、自分の定期預金残高と証券口座残高だけの比率を考えればいいのですが、夫婦で証券投資を行う場合、「夫の定期預金等」「夫の証券口座投資資金」「妻の定期預金等」「妻の証券口座投資資金」の4口座を合計してシェアを見ていくことが必要です。

先の例で、うまくないパターンを示してみます。夫婦の統合ポートフォリオにおいてリスク資産と安全資産のシェアは5:5を希望し、リスク資産においてはインデックス運用が7割くらい占めてもいいと考えていたとします。

しかし、貯蓄額や証券口座への入金額はそれぞれの年収比でそれぞれが追加されている場合、目標と現実にギャップが生じます。

仮に夫のほうが年収が高く、夫婦の所得比が6:4であれば、徐々にアクティブな運用資金のシェアが高まっていくことになってきます。少なくともインデックス運用7割にはならないでしょう。

夫婦の運用の一元化を試みるとき、互いの情報共有が大前提です。まったく情報共有がなされないままそれぞれが勝手なトレードや追加入金・出金を繰り返すのであればますます効率的な運用からは遠ざかることになるからです。

この話題、まだ書き切れていないテーマがあります。もう少し深掘りして考えてみても良さそうです。次回も引き続きこのテーマで夫婦の口座管理や運用方針管理について考えてみたいと思います。たとえば、NISAや確定拠出年金口座についても考えてみたいと思います。