図:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス

出所:マーケットスピードより楽天証券作成

イエレン発言でGoldさらに下落(2016年5月30日(月)掲載分より)

前週にFOMC議事録の発表をきっかけに下がり始めたゴールドでしたが、その流れが続いており、今週は当面のレンジの底である1,250ドル近辺をあっさりとブレイク、金曜日にはイエレン議長のハーバード大学での会見で再び、早期の利上げに関して積極的な発言をしたことにより、ゴールドは一時1,207ドルまで下げ、次のサポート1,200目前まで下げてきています。ただ前回書いた通り、6月後半には英国のユーロ脱退に対する国民投票、そして秋には米大統領選を控えています。このままゴールドが売られ続けるとはどうしても思えません。先週1,000トンまで増えていたコメックスのゴールド投資家ロングポジションは、やはり前例通り大きく利食われ、790トンまで減少、一週間に214トンものゴールド(先物)が売られ、価格もほぼ40ドルの急落をみました。しかしこれはあくまで先物のロングからの利食いの売りです。ただこの下げが大きくなればなるほど今度はテクニカルな観点からの新規売りが増えていくことになり、下げにスパイラルに陥るのが気になるところです。相場の下げによる実需買いの期待もまだ答えられて以内状況です。今週は1,200ドルがホールドできるかどうかが一つの試練となりそうです。

今朝のGlobex Openingは1,213ドルでしたが、週末の消費税先送りのニュースを受け、円安がすすみ、ゴールドは売られて1,207ドルと先週金曜日につけた2月来の安値とほぼ同じレベルまで下がっています。ここ結構ポイント。

CFTC Commitments of Traders Report as of 24 May 2016(2016年5月30日(月)掲載分より)

出所:池水氏のレポートより抜粋

投資家ロングは1,004トンから790トンへ、214トンもの減少となりました。価格は1,273ドルから1,237ドルへ急落。やはりコメックス1,000トンのロングは今回もまた大きく利食われる結果となりました。これはもう本当に鉄板ルールですね。コメックスの投資家が1,000トンのロングを抱えたら、どんなにマーケットが強気の雰囲気でもとりあえず利食い。

米経済指標好調で、上昇後下落(2016年5月27日(金)掲載分より)

昨日はアジアと欧米で1,230ドル台まで戻す場面がありました。ドルが弱含み、原油が50ドルを突破しゴールドもようやく下げが一服かと思ったのですが、ニューヨークでは米耐久財受注が前月比3.4%の上昇、新規失業保険申請件数は278kから268kへ減少、そして中古住宅販売仮契約の数字も5.1%の伸びと予想を遥かに上回る数字が発表され、米国経済指標が軒並み良い数字となり、それにより、ゴールドは一挙に上昇分を失い、逆に1,220ドルを割り込むレベルまで下落、結局7日連続での下げとなりました。このところの下げで期待される実需の買いですが、とりあえず昨日の時点ではそれは見られないようです。この下げは買われ過ぎ(特に先物)からの調整の売りだとまだ思いますが、あまり下げすぎると、テクニカルな観点から、今度は新規売りに回る投資家が増えてくるのが不安材料です。今晩の米GDP、そしてイエレンFRB議長のハーバード大学でのスピーチが注目されます。

Gold 6日連続の下げ(2016年5月26日(木)掲載分より)

ゴールドはFOMC議事録以来、6日連続の下げとなり、7週間ぶりの安値を更新しました。今月に入ってからの下げは75ドルです。コメックスのロングが1,000トンに達したことからの高値警戒感、それに歩を合わせたような6月金利上げの可能性で、売りが膨らみ、その売りからの下げが、チャート的にも良くない形になったことで、さらにテクニカルな売りが発動されるという下げのスパイラルが続いています。今週金曜日にはイエレン議長が前議長のバーナンキ氏とハーバード大学で講演があるようで注目されます。

今回の調整の動きはゴールドの今後を占う上でもよいディップになるのではないでしょうか。来月23日には英国のユーロ脱退に対する国民投票があり、秋の米国大統領選をも考えるとまだまだゴールドを買いたい投資家は多いはずです。今回の下げは、またインドや中国といった今年に入っての高値で、ぱったりと買いがとまった実需国が、今回の下げで買いに入ってくるチャンスともなり得るのではないでしょうか。

下げても1,200ドル近辺が限界ではないでしょうか?

ドル高でメタルさらに下落(2016年5月25日(水)掲載分より)

ほぼ一貫して下げ続けました。ドルがここ数週間上昇を続け、ドルインデックスは95.6と3月末以来のレベルまで上昇、ゴールドはほぼ一ヶ月ぶりの安値となり、1,250-1,300ドルのレンジを下にブレイクした形になりました。Fed Watchでは6月の金利上げは34%の可能性、7月は57%と来月もしくは再来月の金利上げを見込む向きが増えてきています。これがゴールドの売りを呼んでいるわけですが、おそらくはComex のlong liquidationであり、積極的なshort sellingではないと思います。Gold ETFは依然として買いが強い状態です。今週土曜日のCFTCのComex 投資家ポジションは昨日火曜日のマーケット終了の数字となるので、この一週間、どれくらいのロングが売られたのかが興味深いところです。ドルの動きに左右されるマーケットになりそうですね。

Markets at a standstill(2016年5月24日(火)掲載分より)

Markets at a standstill という表現がぴったりの状況です。上にも下にも行きづらい状況です。FOMC議事録により、6月の金利上げの可能性が大きくなり、それによって頭が重たくなりましたが、かと言って大きくも下げられない、そんな状況です。ETFは相変わらず増え続けており、売りが出ているComexの大きな投資家ロングポジションとは対象的な動きになっており、それが格好のdip buyingになっているのかもしれません。

シルバー、プラチナ、パラジウムはゴールドと歩をともにしているだけで、独自の動きが見えません。しばらくはゴールド次第の展開がつづきそうですね。