図1:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス
雇用統計大幅改善でドル高・その他安(2015年11月9日(月)掲載分より)
週末の雇用統計に向けて、週初からドル高メタル安の流れが続きました。そして雇用統計は冬時間になったため日本時間金曜日夜10時半の発表でした。発表されたNon-farm payroll(非農業部門雇用者数)は27万1000人の増加、失業率は5.0%という、市場の予想を遥かに上回るよい数字でした。その結果、12月のFRBの利上げはほぼ確実とみた投資家はさらにドル買い、その他の資産を売るという行動に走り、ドル円は発表直前の121円後半から123円超えまで一挙にジャンプ、ゴールドも1100ドル台前半から1,080ドル台前半まで一挙に売られました。
CMEのFedWatchでは、ほぼ75%以上の参加者が、12月の利上げを見込むようになりました。(直前では50%くらいでしたが)米長期金利もこの発表の後急騰しています。ドルインデックスもほぼ半年ぶりに99まで上昇、すべてがドルへドルへと集中してきています。南アランドは14ランドを越えて安値を更新、少し治まり修正が入っていたドル高、他通貨(特に新興国通貨)安がふたたび勢いをまして来そうな雰囲気になってきました。コモディティにとってもよくない状況であることはいうまでもありません。逆にこのドル一極集中がさらに進んだ場合、また新興国の危機的状況が深刻になる可能性があるのではないでしょうか。そうなった場合のFRBの判断がどうなるのか、気になるところです。今回の数字が示すとおり、米国の経済という観点からはおそらく利上げは当然なされるべきでしょうが、その結果さらなるドル一極集中が起こったときの、世界経済の行方が気になります。ゴールドは今年の安値である1,077ドルが目の前にせまってきています。ここが破れるかどうか、今週はそれを試すことになりそうです。
CFTC Commitments of Traders Report as of 03 Nov 2015(2015年11月9日(月)掲載分より)
投資家ロングは533トンから383トンに急減。ドル高からの売りが強くなってきました。
今晩の雇用統計待ち(2015年11月6日(金)掲載分より)
アジアでは実需のbargain huntingの需要でしっかりなんですが、ニューヨークではやはり売られてしまうようです。ETFからの売りは過去4日間で18トンにもなっており、投資家がゴールドから距離をおきつつあるのがよくわかります。ドル高・メタル安が続いていますが、今日の夜の米雇用統計がその方向を決定づけるでしょう。よい数字が出ると最後の残りの売りが出る可能性、そしてもし悪い数字であれば、ここまでおそらく急増しているショートのカバーで急騰もあり得るので要注意ですね。Let’s see how it goes.
続くドル高メタル安(2015年11月5日(木)掲載分より)
さらなる下落が続いています。アジア・欧州は静かでしたが、またニューヨークにて売られました。イエレン議長が米経済は好ましい状態にあり、12月に利上げすることは適切であると発言し、それによりドル買い・ゴールド売りがさらにすすむことになりました。ゴールドの安値は1,106ドル台でした。昨日は久々にまとまった量のゴールド現物の引き合いがありましたが、それもマーケットを支えることはできませんでした。
他のメタルも続落。PGMはフォルクスワーゲンの続報で、今度はそれがガソリンエンジンまで飛び火した模様です。ガソリンエンジン触媒でも不正が見つかったとの話で今度はプラチナのみならず、ディーゼルの時に買われたパラジウムも大きく下げることになりました。よくないですねえ。どこまでやってたんや、フォルクスワーゲン!プラチナそしてパラジウムともにこのところETFの残高が急減しています。プラチナ、パラジウムともに2014年年初のレベルにまで下がっています。これまではほとんど大きく減ることが無かっただけにこのフォルクスワーゲンのニュースは明らかに長期的投資家をもマーケットから遠ざけているようです。個人的には円建て3,500円近辺まで下がったら現物を買い増したいです。昨日話をした業界関係者によると、日本では前回9月末の下げのときはやはり投資家のプラチナ現物買いが激しかったようです。
ドル高からメタル売り加速(2015年11月4日(水)掲載分より)
メタル売りが続きます。先週のFOMC以来の下落基調が昨日は1,130ドルを割り込んだことによってさらに加速された形です。このマーケットの心理状態が改善されるためには、これから出てくる米国経済指標がよっぽど悪化している必要があるだろうと思われます。好調な数字が出て、12月利上げがより確実視されるようになるとさらに売られる可能性がありますね。昨日のニューヨークでは実需の買いも出ていたようですが、売りに飲み込まれたようです。