図1.NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス

チャート出所:マーケットスピードより楽天証券作成

ゴールドは1,150近辺で次の動き待ち?(2015年3月16日(月)掲載分より)

金曜日はアジアはまたこのところ毎日のパターンで上昇、そして欧米で下げるという同じ動きでした。じゃあアジアで売って、欧米で買い戻せば、と思うところですね。確か先週はそれで毎日もうかったはずです。ただそれがまた今日も続くかどうか、そこがわからないのがつらいところですね。笑。金曜日のニューヨークは久しぶりに大きな指標の発表もなく、ドルユーロが1.048と2003年以来のドル高・ユーロ安がやはりゴールドにとってはプレッシャーとなりました。1,150ドル近辺という結構微妙な値位置でゴールドは止っています。ここからどちらにいくのかが大切だとみています。下がりそうで下がらない、そんな感じで今度は今週のFOMCを迎えそうですね。ドルインデックスは100を超えて、ユーロも1.05を割り込んでまさにドル一人勝ち状態が続いています。

また最近のPGMの動きに大きな影響を与えている南アランドはユーロと同じく安値を更新中です。生産国南アの通貨と需要国欧州の通貨がともに安値を更新するこの環境はプラチナにとってはダブルの意味でマイナスです。南ア生産者にとってはプラチナ売却を促す動きとなり、欧州需要家にとっては購入を抑制させるということになります。ユーロ及びランドがある程度戻すような動きにならないとプラチナの頭が重たい展開はしばらく続きそうですね。

図2.ランドドルとユーロドルの推移
単位:ともにドル

出所:ブルームバーグのデータをもとに楽天証券作成

CFTC Commitments of Traders Report as of 10 Mar 2015(3月16日(月)掲載分より)

図3.NY金価格と投資家ポジションの推移

出所:筆者執筆「Bruce Report(ブルースレポート)」3月16日掲載分より

投資家ロングは426トンから328トンへほぼ100トンの減少となり、6週間で340トンもの売りが出たことになります。価格も1,160ドル台まで落ち込みました。この下げはComexの売りが直接的な原因であることがわかります。

実需買いもドル高強し(2015年3月13日(金)掲載分より)

結構動いた一日でしたが、終わってみれば行って来いの相場でした。アジアではしっかり。実需は確実に買っています。ゴールドそして昨日はプラチナに目立った実需の買いがありました。さすがに需要家もここは買いとみたのでしょうか。午後にかけて、ドルが弱含みの場面では、久しぶりに買いストップオーダーが入り、1,155ドルから一挙に1,161ドルにジャンプ。その後も上昇を続け、一時1,167ドル手前まで上がりましたが、その後の欧米ではまた売りが強くなり、結局アジアで上げた分は全部なくしてしまう形で一時1,150ドルを割り込み1,149ドルまで下げる場面があり、ニューヨークの引けは1,155ドルを割り込んだところでした。やはりドルの重しはヘビーですね。実需は結構買っていると思いますが、ドル高を根拠とした売りの方が強いようです。ただそれだけに昨日のアジア午後のように、ドルが少し下がっただけでも大きなショートカバーが入る可能性は十分ありますね。

図4.NY金とドルインデックスの推移(15分足 2015年2月23日20時30分から3月15日22時45分)
単位:NY金 ドル / トロイオンス

出所:ブルームバーグのデータをもとに楽天証券作成

相変わらずPGMは頭が重たいですね。冒頭にも書きましたが、結構実需は出ているのですが。ランドとユーロというプラチナにもっとも関係ある通貨の動きから考えると、ユーロとランドが同時にこれだけ大きく下げたことは今までありません。ランド安によって南アの生産者はとりあえず、生産カットの圧力を一時的に忘れてなるべくプラチナを売るという気持ちが働いているでしょう。そして一方最大の消費地域(ディーゼル車の中心地)である欧州では、ユーロ安によってなるべく買わないという需要家の態度が自然でしょう。となると、この二つの通貨が大きく値を下げた過去半年、同時に20%近く下がったプラチナの相場を一番よく説明できるのではないでしょうか。そう考えると、まだまだドル安が続きそうな現在、プラチナが大きく反転するためには、通貨以外の需給要因でのプラチナ独自の需要がないといけないですね。状況はあまりいいとは言えないですね。現在見られている実需の買いがどれくらいの規模で盛り上がるかは大事ですね。

PLATINUM Quarterly Q4 2014 by WPIC(2015年3月12日(木)掲載分より)

昨日夕方WPIC(World Platinum Investment Council)から早くも「PLATINUM Quarterly Q4 2014」が発表されました。まだちゃんと読めていませんが、この内容がちょっとbearish。2014年のプラチナ供給不足分は700kozとしており、JMの数字(1.13moz)よりもはるかに小さくなっています。このレポートに関してはまた別途ちゃんと読んでどこかに書きたいと思います。

出所:筆者執筆「Bruce Report(ブルースレポート)」3月12日掲載分より

ドル高続く(2015年3月12日(木)掲載分より)

今朝もまた昨日と同じく、「ドルが強い!」から書き始めないと仕方ないですね。ドルインデックスはなんと瞬間的には100をタッチしてました。「ドル高・他通貨安」はまだまだ続くんでしょうね。ただこのところの一方的な動きはどこかでその反作用がきてガクッと戻すところがあるとは思いますが、中長期的にはやはり今の各国の政策マクロの下では「ドル高・他通貨安」は続くと思います。

ゴールドはやはりアジア時間は実需のbargain huntingもありしっかりなのですが、また欧米で売られて一時1,150ドルを割り込み4ヶ月ぶりに昨年の安値に近いレベルまで下落してきました。昨年の安値が1,130-40ドルレベルでこの辺りが今年に下値目途と見ていますが、この一方的なドル高でどうなることやら、って感じですね。

ドル続伸、リスクオフ、ランド安(2015年3月11日(水)掲載分より)

ドルが強い。今年はドル高・他通貨安と年初から言い続けてますが、それでもあきれるくらいやっぱり強い。ユーロは1.067まで12年ぶりのレベルまで下げました。ドルとユーロがparになるのもそんなに遠くないですね。なんとなく2007年に香港ドルが人民元とparになり、その後逆転したころのことを思い出します。おそらくただの通過点となるんでしょうね。ドル円は一時122円台をつけましたが、現在は121円前半まで戻しています。逆にドル一辺倒への警戒感から円が少し安全資産として買われているのかもしれませんね。NYダウは332ドルと大きく下落、年初来の上げを消してしまいました。強いドル、金利の上昇への警戒感。ドル以外でおそらく唯一買われたのは米国債で、長期金利は金曜日の2.25%から2.12%まで上昇。

昨日の日本では国債がまた暴落。長期金利は三ヶ月ぶりの高水準に。長期の既発債の流動性入札が不調になったことにより午後1時くらいから10年国債が大きく売られ、利回りが急上昇しました。ちょっといやな感じですよね。日銀が最大の買い手である今、まさに債券市場の機能不全がここにきて表面化しつつあるのではないでしょうか。安いうちにゴールドを買う、こんなところにそのリスクヘッジの意味を僕は見出しますけど。

それでもってメタル。ゴールドは昨日は下がらず意外としっかり、アジア時間は一時1,170ドル手前まで戻しました。あまりにも他通貨が売られているために、ゴールドを売ることに躊躇を感じているのでは。そしてリスクオフという観点からは株が下がって、逆にゴールドに物色が入ってきてもおかしくないと思います。このあたりは拾ってもいいのでは。下値はやはり昨年の安値である1,130-40辺りを見ています。

昨日はPGMが続落となりました。ちょっとこれは意外です。プラチナの下げにとうとうパラジウムも売られたというところだと思いますが、ランドが13年ぶりの安値になっていることが大きく影響しているのではないかと考えます。ランド建てのプラチナはあまり変わってないんですね。下のチャートをみてもらうと、ランドとプラチナの関係がよくわかると思います。プラチナを考えるにはまずランドの動きを考えたほうがよさそうです。

アジアで上がってNYで下がって元通り(2015年3月10日(火)掲載分より)

金曜日の急落の後の昨日のアジアはじわじわとしっかりなパターンでした。金曜日が1,165ドル近辺でニューヨークが終わったのですが、アジアでは1,167ドル近辺で始まり、1,173ドルまで戻し、その後はロンドンで1,175ドルまで上昇した後反転、ニューヨークはアジアとまったく逆の動きで、アジアで上がった分すべて売り戻され、終わってみれば1,167ドルに逆戻りとなりました。アジアでは実需が強いのですが、ニューヨークではファンドやETFなどの投資の売りがメインとなり売りが強い展開です。ドルは11年ぶりの強さを保っています。それがゴールドの売りの最大の原因。ユーロは1.08台、ドル円は121円を超えて、ドルインデックスは97台とまさにドルの一人勝ち。金曜日に大きく売られた米国債、NYダウは少し戻しています。しかし冷静に考えるとFedの金利上げという話はこれまでもうまさに耳にたこができるくらいマーケットでは話されており、もはやすでに金利がいつか上がることは既成事実といってもいいくらいだと思いますが、依然としてそれを材料にゴールドが売られるっていうのはちょっと納得がいかないですね。もし、純粋にそういうことであればゴールドはとっくの昔に1,000ドル割っていてもおかしくないと思います。ドルの一人がち的な動き、その他の通過安を考えるとゴールドがこのまま売られ続けることはないのでは。通貨が安くなって、ドルはもはや高くなっていたら、次に物色の対象になるのは遅かれ早かれゴールドになるのでは?特にゴールドに関係ない投資家にとってはゴールドは魅力的レベルにあると思います。

プラチナが5年ぶりの安値をふたたび更新、昨日は1145ドル近辺まで下げました。これまた売られすぎでしょう。もはや目をつぶってbuy and forgetでいいのではないでしょうか。

円安のため、ドル建てのメタルの下げは相殺されて、円建てのメタルは昨日とほとんど変わらないレベルです。