今日のまとめ

  1. ブラジルはワールドカップ、大統領選挙など大きな行事を控えている
  2. 普通、大統領選挙の年は相場が荒れる
  3. 国内優先の産業政策を改めない限り投資家は戻ってこない

相次ぐ大きな行事

ブラジルは今年、6・7月にワールドカップ、10月に大統領選挙を控えています。大統領選挙と同時に連邦議会議員、州議会議員、州知事の選挙も行われます。

ブラジルの大統領は2期まで務めることが出来ます。従って今回は労働者党(PT)のルセフ大統領の信任投票の色彩が強いです。

大統領選挙のジンクス

ブラジルの株式市場は大統領選挙がある年は5月から10月にかけて冴えない展開になるというジンクスがあります。これは選挙を前に候補者のスキャンダルの暴き合いが起こるのが常だからです。

誤った経済政策

ルセフ大統領のこれまでの経済政策は外国の投資家にとってフレンドリーではありませんでした。具体的にはリオデジャネイロ沖のルラ油田を発見したペトロブラス(ティッカーシンボル:PBR)の過半数株式を政府が再取得し、入札から外国企業を締め出すなど、あからさまな国内企業優先の方針を打ち出しました。

これは1950年代の輸入代替政策(=外国から製品を買うのではなく、国内でそれを生産すること)を彷彿とさせます。

しかし外国人投資家の少数株主金を軽視し、公平な競争を排除するこのようなやり方は、ラテン・アメリカの政府がこれまで何度も犯してきた間違いであり、結果として外国人投資家の離散を招きました。

従って今回の選挙でルセフ大統領が勝っても、ハッキリ言って投資家は喜ばないと思います。

不振極まるブラジル経済

かつて2010年には+7.5%で成長していたブラジルのGDPはこのところ不振を極めています。

しかも景気が悪いにもかかわらず、インフレは高止まりしています。

インフレ圧力があるということは、景気をてこ入れするための利下げが出来ないことを意味します。

ブラジルの経常赤字幅は拡大基調にあり、これはブラジル・レアルを圧迫する要因です。

ブラジルの構造的財政収支は慢性的な赤字です。

つまりブラジルは経済の体質改善の努力を全然やって来なかったのです。

このことは選挙に相前後してブラジルの通貨や株式市場が「マーケットからの洗礼」を受けるリスクが高いことを示唆しているし、そうなれば選挙後は財政赤字の圧縮や増税などの、痛みを伴う改革にいよいよ着手しなければならなくなる可能性があることを示唆しています。

このように現状ではブラジル株は買い材料に乏しいです。