今日のまとめ
- トルコ中銀が通貨防衛のため金融引き締めを発表した
- トルコ経済は2012年の急速な減速の後、戻り歩調にある
- 大きな経常収支の赤字は海外からの投資資金が逃げやすいことを示唆
- 通貨安になるとそれがすぐにインフレ悪化を招く体質となっている
- 今年は大統領選挙の年であり、政治リスクが為替にも影響することが予想される
通貨防衛に乗り出したトルコ中銀
1月28日、トルコ中銀が翌日物貸付金利を一気に4.25%引き上げ、12%としました。これは年初来-11%近く下落していたトルコ・リラを防衛する意図でなされたものです。
そこで今日はトルコ経済の近況について見る事にします。
GDP成長率
先ず同国のGDP成長ですが、国際通貨基金は下のように見ています。
トルコのGDPは2012年に2.2%と鈍化した後、出直りつつあります。
経常収支
トルコの経済は内需主導型です。その関係で景気が強くなるとすぐに経常収支が悪化しやすい体質になっています。
投資家は経常収支の悪化に特に敏感です。このところトルコ・リラが軟調だったのは、このためです。
政府負債
トルコ政府の負債は現在GDPの46%程度で、これ自体は危険な水準ではありません。しかし漸減すると見られていた負債比率は、逆にどんどん悪化しています。
言いかえれば外国に資本を依存する体質が、どんどん強まっているわけです。
インフレ
トルコ・リラが弱含むと輸入品の物価が高くなります。それは同国の消費者物価指数の高騰というカタチで跳ね返ってきます。
今回のトルコ中銀の金融引き締めは、通貨防衛に加えてインフレの抑制という意味合いも込められています。
家計部門
トルコの家計負債は近年どんどん増えており、2006年に可処分所得の30%だったのが現在では50%を超えています。また貯蓄も慢性的に低いです。このことは経済成長をファイナンスするためには外国資本に依存しなければいけないことを意味します。
政治とのかねあい
トルコは今年の夏、大統領選挙を予定しています。また2015年には議会選挙もあります。さらに憲法改正に関する国民投票を実施する話も出ており、政治的な材料には事欠きません。これらは為替かく乱要因です。