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インドのルピー安について
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

インドのルピー安について

2013/8/16
今日のまとめ 1.ルピー安で投資家の不安が高まっている 2.米国の金利政策の転換も資金引き揚げ要因のひとつ 3.経済構造改革が遅々として進んでいない 4.外貨準備が急速に減りはじめている
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今日のまとめ

  1. ルピー安で投資家の不安が高まっている
  2. 米国の金利政策の転換も資金引き揚げ要因のひとつ
  3. 経済構造改革が遅々として進んでいない
  4. 外貨準備が急速に減りはじめている

ルピー安で投資家のインドへの不安が高まっている

このところインドのルピーが軟調で、市場関係者の注目を集めています。下は1米ドルとインド・ルピーの交換レートを示したチャートで、上に行くほどルピー安です。

インド・ルピー(1US$=Indian Rupee、Exchangerates.org)

インド・ルピーが売られているのは、複合的な理由によります。

米国の債券買い入れプログラムの縮小懸念

第一の理由として9月にも米国の連邦準備制度理事会(FRB)が債券買い入れプログラムを縮小するのではないかと見られていることが挙げられます。長期的な視点に立てば米国の金融政策は、これまでの極めて緩い政策から、だんだん引き締めの方向へと大きく転換しています。

過去に米国が金融引き締めに転じたケースでは新興国から投資資金が引き揚げられるという現象が見られました。今回もそうなる前に逃げておこうと考える投資家が増えているのです。インドの代表的な株価指数であるSENSEX指数は、高値から少し押しています。ただ今のところ大きな調整ではありません。

インドSENSEX指数(キャピタルIQ)

遅々として進まぬ経済構造改革

投資家が不安を抱く二つ目の理由は、経済の構造改革が遅々として進んでいない点です。インドは下のグラフにあるように慢性的な貿易赤字体質になっています。

インドの輸入と輸出(GDPの%、インド準備銀行)

農業中心の経済から、工業やサービス業中心の経済へと変わろうとする初期には、生産設備などを輸入しなければいけないため、慢性的に輸入が輸出を上回るという現象は、インドに限らず、おなじような発展の途上にある国には広く見られる傾向です。しかしテキパキと生産設備や輸出インフラを整えて、一日も早く輸出で外貨を稼げるような体質にしなければいけません。

保守的な政治風土が投資に逆風となっている

しかしインドの場合、庶民が外資の工場進出を歓迎しない風土があり、発電所などの肝心なインフラの整備も遅れ気味です。当面はこの帳尻を、海外からの直接投資やインド株などへのポートフォリオ投資の資金の流入により合わせることになります。

インドの輸入と輸出(10億ドル、2011/12年以降は予想、IMF)

しかしインドの庶民が外資を歓迎しないということになると、外国企業や投資家は、嫌われてまでインドに投資したいとは思わなくなります。インドへの直接投資は、2011年から12年にかけてピークを付けた後、鈍化しています。

インドへの直接投資÷GDP(%、インド準備銀行)

そのような状況下で、今、どんどんインドの経常収支が悪化しており、ついに経常赤字は4.5%に迫っています。

インドの経常収支(GDPの%、インド準備銀行)

これを見た外国の投資家はお金を引き上げ始めているので、ルピーの換金売りに応じるためインドの外貨準備高はどんどん減っています。

インドの外貨準備高(百万ドル、インド準備銀行)

幸い、現在、インドの外貨準備高は未だ輸入の6カ月分以上あり、クッションは十分です。

インドの外貨準備が輸入の何カ月分をカバーしているか(月、インド準備銀行)

しかし外貨の目減りが止まらないようだと、インド準備銀行は利上げによりインド・ルピーの魅力を増すなどの方法で、通貨防衛をしなければいけなくなります。インドの物価は小売物価を中心に高止まりしています。

インドの物価(%、前年同期比、2011/12年以降は予想、IMF)

そのことも、中央銀行が景気対策のために金融緩和できない理由となっています。このところインド経済は成長に陰りが見えています。経済が急成長しないのであれば長居は無用だと考える投資家も多いので、低成長は悪循環の原因になります。

インドGDP(%、前年同期比、2011/12年以降は予想、IMF)

もうひとつインド政府がやらなければいけない事は財政赤字を圧縮するという事です。

インド財政収支(GDPの%、2011/12年以降は予想、IMF)

いずれにせよインドが取り組まなければいけない課題は多く、道のりは険しいと言えます。

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