今日のまとめ
- 光ファイバー関連株が人気化している
- 光ネットワークのアップグレード・サイクルの到来が期待されている
- 100ギガビット・イーサネットへの期待が高い
- 業績的には見るべきものは無い
来る100ギガビット・イーサネット時代
このところ光ファイバー関連株が人気となっています。そこで各社のチャートを確認しましょう。先ず光ファイバー部品やテスターを作っているフィニサー(ティッカー・シンボル:FNSR)です。同社は先週の火曜日に「業績が予想より良くなりそうだ」と発表し、株価が急騰しました。
次は光パケット・スイッチなどを作っているシエナ(ティッカー・シンボル:CIEN)です。
次は光ネットワーク機器ならびにソフトウエアを作っているインフィネラ(ティッカー・シンボル:INFN)です。
次は光通信網向け部品を作っているJDSユニフェイズ(ティッカー・シンボル:JDSU)です。
このように光ファイバー関連株が堅調な背景には、かれこれ10年近くも需要が低迷してきた光ファイバー産業に、ネットワークのアップグレード・サイクルが到来するのではないかという期待が高まっているからです。
光ネットワークはドットコム・バブルの1990年代に大きな過剰投資が行われました。そのときに出来てしまった余剰キャパシティは、その後何年も使われないままで来ました。しかしその間にもネットフリックス(ティッカー・シンボル:NFLX)に代表される動画サイトや、クラウド・コンピューティングの流行の影響で、インターネットのトラフィックは着実に増えてきました。ネットワーク機器メーカー、シスコ(ティッカー・シンボル:CSCO)によると過去5年間、インターネットのトラフィックは毎年2倍に増えているそうです。
AT&T(ティッカー・シンボル:T)やベライゾン(ティッカー・シンボル:VZ)などの大手通信会社は、そろそろ将来、光ファイバー網のキャパシティが足らなくなることを見越して、次世代のネットワークへの先行投資を開始しなければいけない時期に来ています。加えてグーグル(ティッカー・シンボル:GOOG)などのネット企業もデータ・ネットワーク網を構築しています。
これまでのネットワークは10ギガビット・イーサネットが中心だったのですが、これからは100ギガビット・イーサネットの時代になると言われています。そこで10年に一度のアップグレード・サイクルが到来するという声が高まっているのです。
業績的には各社とも厳しい
光ネットワークに関連する設備投資は年間130億ドル程度の市場です。この市場は年率7.5%程度で成長しています。
ドットコム・ブームが弾けた時に、このセクターは大きな打撃を受けました。その後も長く需要が低迷したため、今日まで鳴かず飛ばずの状況が続いています。その間、M&Aや事業縮小などにより、かなり業者数は整理されたのですが、まだまだ全てのメーカーが利益を出せるような需要は戻ってきていません。
シエナの場合、光パケット・スイッチで一世を風靡し、このセクターで最も付加価値の高い製品を作っていると一般に考えられています。しかし現在の同社の営業マージンは僅か2%に過ぎず、決算を見る限りにおいてはプレミアム製品を作っているとは全く感じられません。業績は赤字続きです。
【略号の説明】
- DPS 一株当り配当
- EPS 一株当り利益
- CFPS 一株当りキャッシュフロー
- SPS 一株当り売上高
同社は100ギガビット・イーサネット時代に備えて新製品を用意しています。しかし足下の業績は、2010年に買収したノーテルのビジネスが負担になっており、精彩を欠いています。また同社のバランスシート上には12億ドルの負債が載っており、負債比率は100%を超えています。利払いは綱渡りの状態が続いています。
インフィネラは2000年に創業された比較的若い会社で、光ファイバー・ネットワークのアーキテクチャに関して斬新なアプローチを持つ企業として知られています。同社は唯一、光学集積回路(PIC)を商業化することに成功した企業です。100ギガビット・イーサネット時代に最も恩恵を蒙る企業のひとつと言われています。ただ同社の足下の業績もまだまだ赤字です。
フィニサーはもともと光ネットワーク向けのテスターから始めた会社ですが、現在は幅広い光関連市場向けにサブシステムを提供しています。同社の場合、営業マージンは5%~10%程度であり、シエナやインフィネラより儲かっています。それでも他のハイテク企業との比較では低収益の観は否めません。
JDSユニフェイズはコモディティ色の強い光関連部品を作っているメーカーですが、最近は比較的付加価値の高い分野にも多角化を進めています。同社の営業マージンは13%程度で、このグループの中では最も高いです。またバランスシート上の負債もほぼ無借金です。ドットコム・バブルが弾けた時、最も痛手を受けた企業のひとつですが、地道な体質改善で、業績的にはむしろこのグループの中ではリーダー的な存在になっています。
最後に、これは光ファイバーのピュア・プレイではありませんが、代表的ネットワーク機器の会社、シスコの業績も示しておきます。
シスコの営業マージンは33.3%で、キャッシュフローも申し分ありません。また配当利回りは2.6%あります。