3月6日
16年10-12月期に好決算見通し、大手ネット4社“WANT”が依然有望

香港証券取引所や米NY証取、ナスダックなどに上場している中国インターネット銘柄の2016年10-12月期利益は、明らかに前期を上回る水準に達し、11月に前期決算が発表された時より、ネット銘柄に対する投資センチメントも明らかに改善している。ネット企業の約70%がすでに10-12月期決算を発表したが、市場予想通り、あるいはそれ以上の水準を達成した企業は全体の約9割に上り、前期(約8割)を上回った。BOCIは市場競争の激化を指摘しつつも、セクター全体の17年の利益見通しが改善しているとの見方。ネット市場について、◇オンライン広告市場はデイリーアクティブユーザー(DAU)1億人超の大手数社が掌握している、◇モバイルゲーム部門ではR&D能力とゲームユーザー基盤の大きさがカギを握る、◇ネット通販市場では新世代が重要な役割を担っている――などの認識を示した。17年のトップピック銘柄は引き続き、“WANT”で、これは米ナスダック上場の新浪微博(Weibo)、NY証取上場のアリババグループ、ナスダック上場の網易(Netease)、香港上場のテンセント(00700)を指す。

米国市場ではこのほど、網易と58.comの株価が、直近の決算発表後に10%を超えて値上がりした。うち網易の急伸はゲーム「陰陽師」の好調が背景。一方、58.comに関しては不動産および求人関連のオンライン広告市況の改善が寄与した。

BOCIによると、中国のオンライン広告市場では膨大なユーザー基盤を持つ大手が有利。個別に見ると、アリババグループのオンライン・マーケティング収入は16年10-12月期に前年同期比47%増を記録した(7-9月期は36%増)。一方、新浪微博の17年の増収率について、BOCIは前年比49%増(16年は同37%増)を見込んでいる。

テンセントに関しては、馬化騰会長がメディアカンファレンスの席上、以下のような戦略や現状認識を示した。◇中国国内のユーザー数の伸びが減速する中で、デジタルコンテンツ戦略の重要度が増している、◇中国版LINEこと「微信」(WeChat)においてはコンテンツ・サブスクリプション(定額利用サービス)向けのインフラを整備する(収益化できるかどうかはコンテンツオーナー次第)、◇ネット金融戦略では短期的な利益より、長期成長を重視する、◇AI(人工知能)のようなデータ技術の重要性が高まっている、◇17年には自社プラットフォームを利用した企業(製造業など)向け支援を強化する、◇業界トレンドに対応するためにハードウェアの開発状況を注視していく――。

BOCIは引き続き“WANT”をトップピックとしたが、これはソーシャル広告が成長初期段階を迎えたことや、大手各社が展開する主要ゲーム作品の好調が理由。うちテンセントに関しては、DAU5000万人超のユーザーを持つ旗艦モバイルゲーム「Honor of Kings」(王者栄耀)の堅調を予想。さらにコンテンツ・サブスクリプション・サービスや決済ビジネスが長期成長エンジンとなる見通しを示した。