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老後資金は3,000万円で本当に足りるか考えてみる
山崎 俊輔
なんとなくから卒業!実践・資産形成術
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファ…

老後資金は3,000万円で本当に足りるか考えてみる

2011/8/31
誰にとっても重要で大切な「年金」と「老後資金準備」について、「漠然とした不安」から卒業しよう! これからの人生のマネープランを、主体的にかつ前向きに組み立てるためのヒントを、ファイナンシャル・プランナーであり年金の専門家である山崎俊輔氏がやさしく解説していきます。
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よくいわれる「老後資金3,000万円」は本当か

さて、老後資金準備に目を向けて、運用に対する視点を変えてみようというシリーズですが、そもそもいくら必要かという話を抜きにこのテーマは語り終えることができません(というか語り始めることもできない)。

では、老後資金はいくらあればいいのでしょうか。

よく聞かれるのは「老後資金は3,000万円」という数字です。いくつかのアンケートを見ても、3,000万円くらい必要と考えている日本人が多いようですから、FPが勝手に言っているだけでなく、実際にそう考える人が多いようです。

実際、私もよく「3,000万円」という数字は使います。私がFPとして説明するときは以下のような言い方をします。

  1. 日常生活費として1,000万円程度……
    家計調査などを見る限り、年金収入だけで老後の生活は不足しているのが平均です。毎月4~5万円程度は実際に不足している状態です。老後は現実に25年は考える必要があり、この場合1,000万円以上必要になります(毎月5万円×25年だと1,500万円)。
  2. リスクに備えて1,000万円程度……
    病気やケガ、介護に長くお金がかかる場合に備えておく必要があります。なお、健康保険や介護保険の自己負担増は実現可能性が高く、かかるお金は高めに見積もっておくべきです。闘病や入院生活が長くなる可能性も無視できません。葬式代も残しておくならさらに必要額が高くなります。
  3. 年金減、自己負担増、インフレ等に備えて1,000万円程度……
    普通に老後を送っただけで、実は夫婦で6,000万円くらい年金をもらえるのですが、10%水準カットになれば600万円のマイナスに近いインパクトです。あるいは消費税が今より10%あがるということは、買い物できる実額が8.7%減ることを意味しますので、その分老後資金を増額する必要があります。合計すると1,000万円くらいの覚悟がほしいということになります。

実は老後資金準備の不確定要素は多すぎる

ここまでの説明を聞くと、あまり厳密でないと思われるかもしれませんが、もともと数十年後の予想は厳密に行うことは不可能です。それが老後資金準備の難しさです。

今すでに述べている部分だけでも不確定要素は「毎月の年金額と生活費との不足額」「病気やケガ、介護費用」「健康保険や介護保険の自己負担割合増の度合い」「年金水準の減額割合」「消費税の上昇率」などをしてきました。それぞれ「いつ」行われ「どの程度」必要になるか考えはじめるときりがありません。

インフレも問題は難しく、「いつ」「どの程度」を予想するのはほとんど無理でしょう。しかし無視するには無理があります。
となると、「3,000万円」は現在価値に照らし合わせた暫定値であり、状況によって増加すると考えるのが適当です。インフレが進むときにはしっかり修正をしておく必要があります。

また、所得の高い人ほど、生活水準は高くなりますから、老後資金は多く必要であることも個人レベルの問題として考える必要があります。公的年金については所得の高い人ほど多く保険料を納め、多く年金をもらえる関係がありますが、高所得者が期待するほど比例しません。企業年金を足しても月額40万円に行くことはまれですから、公的年金だけで600万円以上の収入を期待するのは無謀です。
老後も高い生活水準を希望する場合は、人よりも多く老後資金を貯めておく必要があります。

上方修正をどんどん考えるやり方

「私には老後資金がもっと必要だ」と思う人はどんどん上方修正を考えていくことが必要です。

ざっくり考えて、毎月1万円多く老後に取り崩したいのであれば、年12万円×25年として300万円の資金がいるということになります。世の中の平均より、毎月5万円多く暮らしたいのであれば、1,500万円追加、というイメージです。先のモデルに追加するなら目標は4500万円、ということになります。

老後の自己負担増や年金減額を厳しく予想するならその分数百万円単位の増額をイメージしてみます。
あるいはインフレが動き出したときは、実際の資産の増え方がインフレ以上であることをしっかりウォッチしながら準備目標もインフレに合わせて増額しておく必要があります。3,000万円の目標は10%のインフレ後は3,300万円にしなければならないわけです。

老後の準備額については、個人的要素をどんどん加味していいので、「我が家の目標」をデザインしていきましょう。

危機感と現実的感覚のバランス感が老後資金準備には必要

とはいえ、老後の目標を「今の生活水準」とイコールにする必要はありません。
定年退職後の出費からは「厚生年金保険料」「住宅ローン返済額」「子の教育費」などがすっぽりと抜けるからです。家庭にもよりますが、毎月の生活費ががくんと下がることは間違いありません。毎月10万円以上下がる人も少なくないでしょう。

ただし、公的年金の水準は夫婦が満額もらっても平均で23万円程度ですから、やはり老後のお金は不足する傾向にあります(これについては、ねんきん定期便などで自分の金額を確認すること。公的年金水準の個人差も大きい)。

一方で、老後資金準備のために、現役生活が成り立たないというのもおかしな話です。老後資金準備の設定は危機感をもって設定をしておくことをおすすめしますが、手取り30万円の中から15万円以上貯めよう、というような計画は非現実的です。

老後資金準備が足りなかったら、そのときある資産と年金収入とでやりくりをすればいいだけの話なので、あまり悲観的になる必要はありません。望んだ生活水準に足らないとしても、いきなり生活が困窮することはないのです(生活の基礎コストをまかなう公的年金をもらえることが大きい)。

がんばればがんばっただけ、老後のゆとりが作れる、と考えて老後資金準備に励んでいくといいでしょう。
無理のない範囲を老後資金準備に回し、運用の力も借りて準備目標を実現していけばいいのです。そのあたりは次回以降また触れていきたいと思います。

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