4月5日(月)の11,408円が、想定した日柄からみた当面のピーク

昨年11月27日の9,076円の安値から今年1月15日の10,982円までの大幅上昇後、2月9日の9,867円まで下落して反発に転じましたが、この時点では為替の円高トレンドということもあり1月15日の10,982円に対する戻りとしてダブル天井のような形を想定していました。しかし、アメリカが超低金利政策の長期間維持を何度も強調し、日銀は3月17日に追加の金融政策を打ち出したことで日米金利差から円安方向にブレ、ギリシャ問題からユーロ安・ドル高となって円安が進行し、日本株式は輸出関連の値ガサ株中心に相場を引っ張られる展開となりました。3月26日(金)には△167円の10,996円の終値となって1月15日の10,982円を上に抜けたことで、更に上値を試す形となりました。ただし、テクニカルは過熱しており当面のピークはアメリカ株式の調整待ちとなるとしました。

4月5日(月)の予測では前週末の4月2日(金)に△41円の11,286円と高く終わっていることで、コール(買い)有利の週となり下げても深くはならないとしました。また、3月30日(火)のチャート分析で日柄(変化日)が4~5日伸びるとしましたが、この4月5日(月)に11,408円の高値をつけて△53円の11,339円で引けましたので、ここが当面のピークとなる可能性を示しました。為替からみると、95円台接近のあといったん円高になることも分析していました。この週は、為替は想定通り円高にフレてくるものの、アメリカ株式は上昇という動きの中で、高値が4月5日(月)の11,408円、安値が4月9日(金)の11,148円と狭い動きのもみあいとなりました。

アメリカ株式の上昇に連動しなかったのは、既に日本市場は調整に入っていたため

先週は、SQ明けの週前半が目先のピークとなる場合もあり要注意としました。それは、日米ともに先週から決算が始まり、特にアメリカ株式は1-3月期の好業績を織り込んで上昇してきていることで材料出尽しとなる可能性が高いからです。アルコアは期待はずれだったものの、4月14日(水)の決算発表でインテル、モルガン・チェースの決算は予想を上回り、3月小売売上高も3カ月連続のプラスとなり、さらにバーナンキ議長が超低金利政策の長期間維持を再び示唆したことでNYダウは△103ドルの11,123ドル、ナスダックは△38Pの2,504Pとなりました。しかし、日経平均はアメリカ株式に連動して大きくは上昇せず、4月15日(木)は△68円の11,273円で引け、4月12日(月)の高値11,351円を抜くことができませんでした。

4月14日(水)のアメリカ市場は、NYダウで△103ドルの11,123ドル、ナスダックで△38Pの2,504Pとなりましたが、テクニカルでみると週足での13週移動平均線と26週移動平均線との乖離が大きく、また日足の方でも25日移動平均との乖離が大きくなっているので、これ以上の上昇は厳しいところへきていました。又、NYダウの柴田罫線の分析でも11,150ドル水準は強力なフシになるところだとしました。4月15日(木)のNYダウは△21ドルの11,144ドルと6日続伸となりました。しかし、引け後のグーグルの決算発表が増収増益にもかかわらず材料出尽しとなって下落し、グローベックス先物も大きく下げました。その結果、日経平均は為替が92円台の円高となっていることもあり▲171円の11,102円で引けました。

中国市場は、4月15日(木)発表の3月の消費者物価指数が上昇率△2.4%と市場予想を下回りましたが、第1四半期の経済成長率は前期比△11.9%(予想の範囲内)となりました。しかし、元の切り上げはいつあってもおかしくない状況です。そのため、この日は為替が92円台の円高になってきています。上海株式を見ると、去年の11月の高値、今年1月の高値、そして現在の高値と徐々に上値を重くしており、調整が近いとみることができます。

日経平均は、アメリカ株式やヨーロッパ株式が上値を追っているにもかかわらず、上を抜けきれないというのは、既に一部の主力株が調整に入っているからです。そのため高値圏のもみあいで日柄調整となっているため、低位の材料株が乱舞しているのです。つまり、主力株を中心としたまともな株がいったん買われて、今の状況では買うものがないために低位株などに資金が回っていたということです。週末のアメリカ市場は証券取引委員会(SEC)がゴールドマンサックスを詐欺罪で訴追したことでNYダウは▲125ドルの11,081ドルまで下げました。

日本市場に続きアメリカ市場も調整へ-当面の日本株式の動き

日本市場は、2月上旬から約2カ月にわたって上昇基調を保ってきましたが、4月5日(月)の11,408円の年初来高値をつけて以来、2週連続で陰線となりました。それまでは、2005年8~9月以来の8週連続の上昇となって、過熱感の目安とされる騰落レシオは120%を22日連続で上回ってきました。これはNYダウも同じで、何度か売りの形ができるもののテクニカルモードが高値圏で張り付いて(強気市場になっている状態)、なかなか下がらず上昇の日柄が伸びてしまいました。このあとは、普通は多少もみあって再下落という形ですが、そのまま25日移動平均線(現時点10,883ドル)を試し、更に75日移動平均線(10,549ドル)に向かう場合もあります。

今年の始めの日経平均の予測として、37カ月周期説からみると日経平均が本格上昇するのは7月以降としていました。しかし、3月17日(木)に日銀が追加の金融緩和策を実行し、その後日経平均が3月26日(金)の終値で△167円の10,996円となって1月15日の10,982円を突破したことで新しい展開となってきました。チャートをみてみますと1月15日の10,982円をこえられずダブル天井のような形で下落し、10,000円を割るような動きになっていれば9,500円~11,000円のボックス圏となって7月以降の本格上昇を待つというシナリオを想定していました。しかし、1月15日の10,982円を抜けて4月5日に11,408円まで上昇したことで、目先は過熱感から調整しても次の上昇では12,000円が視野にはいってくる形となっています。その背景に先週の為替分析で円高トレンドから三角保ち合いとなって、その後ドルの上放れとなって円安トレンドへの転換となっていることがあります。つまり、2008年6月6日の14,601円の戻り高値のあとリーマンショックで暴落となり、10月28日の6,994円で底打ちとなりました。その後大底圏でもみあったあと2009年の3月10日に7,021円まで下落してダブル底のような形となって3月13日の7,569円で買転換が出現し、上昇トレンド(A)を形成してきています。この上昇トレンド(A)の中で2009年7月13日の9,050円、11月27日の9,076円のダブル底となってゆるやかな上昇トレンド(B)を形成し、現在、この上昇トレンド(B)の上値斜線にあたってテクニカルな過熱感からいったん調整するタイミング待ちとなっていましたが、円高とアメリカ株安で値幅調整となってきました。目先は25日移動平均線(先週末で11,042円)の攻防という見方が市場関係者の間では多かったようですが、本日はここを大きく切る10,929円で寄り付き大引けは▲193円の10,908円となりました。75日移動平均線(本日の時点で10,634円)が1つ目の下値ポイントとなりますが、為替やアメリカ株式次第によってはもう一段下の10,400円水準までの可能性があります。今回の下げを2月9日の9,867円から4月5日の11,408円までの上昇幅の一区切りと考えるとそれぐらいの調整があってもおかしくありません。下値確認からの反発で4月5日の11,408円を抜けると12,000円までは真空地帯ですので12,000円が視野にはいってきます。但し、深押しすれば4月5日の11,408円に対するダブル天井形成のようなことも考えられます。どうなるにしろ今回の下げは余裕のある人は75日移動平均線から買い下がりとなります。

(指標)日経平均

前々週末の4月9日(金)はSQ決算日でしたが、この日の終値は△36円の11,204円となってSQ決算値の11,146円を上回って引けました。そのため、週始めは堅調な動きが想定されるところから、目先のピークは週前半となる場合があるとしました。今のところ悪材料を無視して循環物色となっているが目先は11,500円水準がフシであり、騰落レシオも再び150%にのる場面もあることや日米の企業決算も材料出尽しとなる可能性もあり要注意としました。結局、4月5日(月)の11,408円をピークに、4月12日(月)に11,351円の戻り高値をつけ、4月13日(火)に10,088円まで下落するものの、アメリカ株式が4月14日(水)はNYダウで△103ドルの11,123ドルとなったことで上値追いはないものの下値をサポートされる形となりました。しかし、週末は前日のアメリカ市場の引け後にグーグルやAMDが好決算ながら材料出尽しで下げていたことで▲171円の11,102円で引けました。そして、週末のNYダウは証券取引委員会(SEC)がゴールドマンサックスを詐欺罪で訴えたことで▲125ドルの11,018ドルとなりました。本日(4月19日)の日経平均は、アメリカ株安と為替1ドル=92円前後の円高から全面安となって▲193円の10,908円で引けました。下値ポイントは75日移動平均線(4月19日の時点10,634円)か、相場状況によっては、10,400円前後も考えられます。チャートの形をみると、昨年3月10日の7,021円からの上昇トレンド(A)の中で緩やかな上昇トレンド(B)を形成し、上値斜線にあたって反落となっているところです。今週の下げで深押しがなければ、次の上昇で4月5日の11,408円を抜けると上昇トレンド(A)の上値斜線の12,000円水準が目標となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先々週末の4月9日(金)はギリシャ問題の前進や1-3月期決算への期待から一時11,000ドルをつけ終値は△70ドルの10,997ドルで引けました。先週は企業決算の発表が始まり決算内容によっては材料出尽くしとなるところです。結局は決算の結果に対してはマチマチの動きとなりました。4月12日(月)、4月13日(火)はアルコアの売上が予想を下回ったものの好調な経済指標を受けて△8ドルの11,005ドル、翌日も△13ドルの10,019ドルとしっかりした動きとなり、4月14日(水)はインテル、モルガンの予想を上回る結果やバーナンキ議長の超低金利政策の長期間維持の妥当性を示唆したことで△103ドルの11,123ドルの大幅上昇となりました。4月15日(木)もNY連銀フィラデルフィア連銀の製造業景況指数が好転したことで△21ドルの11,144ドルと6日続伸となりました。上値抵抗ラインとしたところにピッタリ到達しました。この日の引け後のグーグル、AMDの決算発表は市場予想を上回ったのに、今度は材料出尽くしとなって下落し、4月のミシガン大学消費者信頼感指数は予想を下回り、さらにSECがゴールドマンサックスをサブプライム関連商品に関して詐欺罪で提訴すると報道され、NYダウは一時▲170ドルの10,973ドルまで下げて終値は▲125ドルの11,018ドルとなりました。現時点で下値ポイントは25日移動平均線が10,883ドル、75日移動平均線が10,548ドルとなります。

NYダウ

(指標)ドル/円

過去1年間の動きをみると、2009年の4月6日の101.43円から円高トレンドを形成し、11月27日に84.769円の安値をつけたあと、三角保ち合いを形成していました。この中で3月4日の88.131円を安値に反発となって三角保ち合いを上放れしました。これによって円高トレンドから円安トレンドへ移動することになりますが、目先は95円でいったん止まって円高へブレるとしました。4月2日(金)にアメリカの雇用統計を受けて94.685円まで買われましたが、材料出尽くしから円高方向となっています。中国の金利引き上げは一時的にアジア通貨が買われることになるので円も買われるという思惑から円高が徐々に進んでいます。先週の予測では目先は円の下値ポイントは92円台半ばですが、ここをきると91円が次のポイントになるとし最終的には今回のいったんの円高は90円水準を目指す可能性があるとしました。4月9日(金)に93.150円で売転換が出現しました。4月12日(月)~4月15日(木)の間は4月13日(火)の92.574円を安値とし4月14日(水)の93.708円を高値とする円高基調の動きでしたが、週末(4月16日)は「中国が段階的に変動相場制を導入する」との報道やゴールドマンサックスが提訴されたことで、NYダウが▲130ドル以上の下げ幅となりドルは一時91.896円まで売られ終値は92.097円でした。次の下値ポイントは91.50円水準となります。92円以下はフシが多いので戻りを試しながら最終的に90円水準を想定しています。

ドル/円