3月7日
クリーンエネルギー投資の伸びを予測、川上の供給過剰で川下部門が有利

BOCIは中国の電力・ガスセクター全般に対する見通しをまとめる中で、都市ガスセクターに対する強気見通しを明らかにした。また、大気汚染が深刻化する中、今後もクリーンエネルギー投資が焦点になると予想。さらに川上の原材料および設備部品の供給過剰感に言及し、現状は総じて川下セクターに有利との見方を示している。

【電力セクター(IPP)】
石炭の価格下落を受け、電力各社は2012年本決算で大幅増益を達成する見通しだが、石炭相場の年間下落率が2-4%にとどまる予想から、2013年は収益成長が鈍る可能性が高い。また、動力炭の長期契約価格をめぐる石炭生産者と電力各社との協議の難航が懸念材料。BOCIは石炭価格の下落や昨年の利下げによるプラス影響はすでに織り込まれたとし、セクター全体に対して中立的な見通しを示している。

【発電設備】
12年通期には投資の減速や利幅低下を受け、個別に前年比6-18%の減益となる見込み。ただ、13年には発電プロジェクトへの総投資額が前年比8%増加すると予想され、利益率も横ばい、あるいは効率改善を受けて上向きに転じる可能性がある。BOCIはH株発電設備セクター全般に対して強気見通しを明らかにしている。

【都市ガス】
国内ガス需要は12年も力強い伸びを維持したとみられ、個別に前年比18-30%の増加が見込まれる。また、15年まで業界全体で17%の伸びが続く見通し。こうした中、「ガス管接続」「都市ガス販売」という2つの収入源のバランスや顧客構成比(住宅、商工業)などが個別銘柄の収益成長を左右する要因となる。また、新規の都市ガス・プロジェクトの買収ペースが減速する中で、この先は自律成長力がカギとなる見込み。BOCIはセクター全体に対して強気見通しを示している。

このほか、クリーンエネルギー部門にとっては、中国国内の大気汚染の深刻化が結果的に政策的な追い風となっている。国内景気の回復もクリーンエネルギー投資を加速させるとみられ、こうした環境は設備メーカーに有利とみられる。

電力・ガス業界では総じて川上の供給過剰感が強く、川下部門が相対的に有利。例えば石炭価格は構造上の問題から一時的に反発しつつも軟調推移が見込まれ、これは川下の火力発電部門のコスト軽減につながる。また、風力発電設備の供給過剰は川下の発電事業者に有利。さらにガス・インフラの整備加速は都市ガス事業者の価格交渉力の強化につながる見込み。一方、BOCIはこれまで深刻だった太陽光発電部品の供給過剰について、14-15年には段階的に緩和に向かうとみている。

個別銘柄の成長性を決める要因は、発電設備セクターでは発展戦略や事業構成比。都市ガスセクターではスケールや顧客構成比。風力発電では立地や送電網との接続状況。BOCIは中国燃気(00384)、新奥能源(02688)、龍源電力(00916)を電力・ガス銘柄のトップピックとしている。