2月8日
全国的な物件供給過剰も地域格差が拡大、一部主要都市で供給ひっ迫感も

BOCIは中国国内の不動産市場について、今年いっぱい在庫処理サイクルが続くと見ている。物件成約規模に対する「完工物件の総床面積」「建設中物件の総床面積」「不動産投資」「着工1年以内の物件面積」を示す4つの指標はそろって高水準にあり、BOCIは国内全体で新築住宅の供給過剰が続くとの見方だ。住宅着工面積が12年第2四半期以降、前年同期実績を下回る水準で推移していることから、市場では供給ひっ迫懸念も浮上しているが、BOCIによれば、成約面積に対する着工面積(着工1年以内の総床面積)の比率は今年、152%に達する見込み。この数字は12年の171%に次ぐ過去2番目の高水準であり、むしろ全国規模での供給過剰が予想されるという。

ただ、BOCIはその一方で、大都市部では構造上の供給ひっ迫感が出る可能性を指摘。13年には新築住宅需給の地域格差がさらに深刻化するとみている。まず土地供給に関する先行指標に基づいてBOCIが計算したところによれば、2009-11年の平均土地取引面積に対する11年の成約面積は一級都市(大都市部)で99%。これは取引対象となった開発用地がほぼ全面的に開発・販売されたことを示唆している。翌12年にはデベロッパーによる用地取得面積が落ち込んだことから、BOCIはこの比率がその後さらに上向いたと予想。13年には大都市部で供給不足が発生するとみている。ただ、大都市部とは対照的に、二級都市(中堅都市)、三級および四級都市(中小都市)では土地供給面積に対する成約面積の比率が63%、58%にとどまり、三級・四級都市を中心に供給過剰感がみられる状況。三級・四級都市では住宅需要の潜在伸び率も相対的に弱く、これまでの土地供給過剰を消化するためにはかなり長期を要する見通しという。

また、住宅着工面積に関するヒストリカルデータにもほぼ同様の傾向がみられ、13年には一級・二級都市の一部で供給ひっ迫感が高まる半面、三級・四級都市では引き続き供給過剰が続く可能性が示唆されている。主要14都市の住宅在庫レベルに基づくBOCIの予測では、一級・二級都市の需給比率は12年の0.89から13年には0.99に上向き、基本的に需給均衡レベルが続く見通し。広州、北京、蘇州、南京、重慶などの一部主要都市では供給ひっ迫が深刻化し、新築住宅価格が上向く可能性が高いという。ただ、成都、青島、寧波などの二級都市では供給過剰が年内続き、住宅相場を圧迫する見込み。さらに三級・四級都市ではここ数年の土地供給過剰を受けて新築物件在庫が増大する一方、需要は相対的に低迷する可能性が高く、BOCIは年内、供給過剰が続くと予測している。