第三者割当によるEPS希薄化は限定的、石油精製部門が採算性回復へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00386 中国石油化工(チャイナ・ペトロリアム・アンド・ケミカル) 8.74 HKD
(02/05現在)
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中国石油化工によるH株の第三者割当増資は市場にとってのサプライズとなったが、BOCIは今回の増資が株主利益に及ぼす影響は限定的とみている。また、引受先がいずれも大量の新株を取得したことで、新株が直ちに市場に出回る可能性は低いとの見方。H株の6%の下落で、増資によるEPS希薄化効果はすでに株価に反映されたと指摘している。BOCIは同社H株の上値余地は限られるとしながらも、目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに対して強気の見通しを継続した。また、同社A株についても目標株価をやや引き上げ、強気の見方を据え置いている。

今回の第三者割当では、新株(H株)が機関投資家わずか10社に対して1株8.45HKドルで割り当てられた。1社当たりの引受額は平均3億800万米ドルに上る計算となり、BOCIは引受先が10%程度の値上がりで新株売却に動くことは考えにくいとの見方。短期的にマーケットに出回る可能性は低いとみている。

中国国内では2012年11月半ばに石油製品価格の引き下げが実施されたものの、中国石油化工は12年12月通期に好決算を達成する可能性が高い。BOCIは石油精製部門の採算性回復を予想。中国の石油メジャー3社の中では同社が唯一、2013-14年に一定の利益成長を達成する見通しを明らかにしている。

一方、BOCIは潜在的なリスク要因として、国際原油相場の高騰にもかかわらず、国家発展改革委員会(NCRC)が石油製品価格の値上げを手控える可能性を指摘した(規定どおりの値上げ時期の延期、値上げ幅の抑制など)。ほかに増資による調達資金を振り向けたプロジェクトが低リターンに終わる可能性、親会社からの資産取得が利益上乗せにつながらない可能性などに言及している。

BOCIは新たな利益モデルに基づき、2012-13年の予想EPSをそれぞれ1-4%の幅で下方修正する半面、14年の予想EPSを0.9%小幅に上方修正した。2012年の原油実勢価格や12年11月の石油製品値下げ、さらに人民元為替相場に関する予測値の修正(一段の元高の可能性に対して否定的)、増資によるEPS希薄化などを織り込んだため。国内の石油製品価格については、2014年4月まで一段の調整の可能性は低いとみている。