日系メーカーのテレビ事業縮小が追い風、海外売り上げが好調持続へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01070 TCL多媒体科技控股有限公司(ティーシーエル・マルチメディア・テクノロジー・ホールディンディングス) 5.68 HKD
(02/05現在)
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TCL多媒体科技は仏トムソンを買収した2004年以降、たびたび赤字に見舞われてきたが、2012年通期では採算ラインに乗せる見通しとなった。BOCIはこれを節目と捉え、今後は採算性を維持するとみている。中国国内のテレビメーカーの中で、TCLはハイアールとともに真っ先に海外市場開拓に動いた先駆者で、日系メーカーによるテレビ生産事業の縮小が真正面からの追い風となる見込み。一方、国内市場では3Dテレビやスマートテレビ、4DウルトラHDテレビなど、高利益率製品に照準を合わせる方針だ。BOCIは12年、13年の利益見通しをそれぞれ20%、22%増額修正し、同社株価の先行きに対して強気の見方を継続している。

調査会社AVCによれば、中国テレビ市場における国産ブランドのシェアは約80%。世界市場における中国ブランドのシェアは20%。国内上位6ブランドの総出荷台数は12年に5700万台と、すでに日系ブランドの4500万台を上回った。うち、TCLの海外出荷台数は12年に667万台で(同社全体の42.9%に相当)、13年には841万台に上る見通し。BOCIは海外部門の利益が2012年の11億6000万HKドルから、13年には18億1800万HKドルに膨らむと予測している。なお、12年7-9月期には、国内向けテレビ部門の純利益マージンがおよそ2.12%、海外部門は1.53%だった。

華星光電(CSOT)がTCL多媒体科技向けの液晶オープンセル・パネル(半製品)の供給を拡大していることも、生産コスト軽減やサプライチェーンの垂直統合においてTCLに有利。CSOTの年産能力は昨年12月、ガラス基板12万枚規模に拡大した。さらに研究開発分野でのCSOTとの提携も、新製品開発を加速させる点でプラス。利益率の改善にもつながるとみられている。

一方、国内では3Dテレビなどの高付加価値製品を主力とする方針であり、この先の粗利益率の向上が期待されている。BOCIによれば、うち3Dテレビが同社出荷台数全体に占める割合は40%を超える見通し。AVCの調査では、国内のテレビ需要は新規世帯による購入(900万台)、追加購入(1200万台)、買い換え(2500万台)が中心で、3Dテレビおよびスマート/インターネットテレビはすでに、液晶テレビ出荷の中心となりつつある。TCLのシェアは国内3Dテレビ市場で約30%(12年10-12月期)、スマート/インターネットテレビ市場で77.66%(12月)。国内全体の12年のテレビ出荷台数は相対的に低調で、BOCIは「前年比4%減-横ばい」を予測しているが、13年には前年比10%の伸びを示す見通しという。農村部向けの家電補助金制度は1月末で終了したものの、新たにエコ家電向けの補助金制度が導入されており、自社機種約260種がエコ基準を満たしているTCLへの恩恵が見込まれている。