6月中間期に73%の大幅減益、スマホ出荷増を受けたスケールメリットに期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02618 TCL通訊科技控股有限公司(ティーシーエル・コミュニケーション・テクノロジー・ホールディングス) 1.85 HKD
(08/10現在)
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TCL通訊科技の2012年6月中間決算は、売上高が前年同期比11%増加する一方、純利益が73%の大幅な落ち込みを示した。利益率の悪化が背景。また、売上高、純利益ともに、市場コンセンサス予想を13.5%、31.5%の幅で下回った。ただ、現在60万台規模にある月次のスマートフォン出荷台数が、下期中には100万台を突破する見込み。BOCIはこれに伴い、スケールメリットが生まれると見ている。一方、国内の販売拠点数は下期に1万カ所に達する見通し。BOCIは利益率悪化を反映させる形で目標株価を引き下げながらも、スマートフォン部門の粗利益率が10-12月期に回復に転じると予測し、同社株価の先行きに強気の見方を継続している。

携帯端末およびその他製品の出荷台数は上期に前年同期比4%減の1860万台。欧州債務危機や世界的な景気悪化が響く形となった。また、同社は現在、従来型携帯端末からスマホへの切り替えの過渡期に当たり、依然として従来型端末が出荷全体の過半数を占める(上期のスマホ出荷台数は全体の11.8%に当たる220万台)。このため、スマホ部門はスケールメリットを享受できず、上期の利益率への寄与は極めて限定的。同社全体の粗利益率は前年同期の22.1%から19.3%に後退した。ただ、BOCIはスマホ部門のスケールメリットが下期に顕在化すると予想。9月にはスマホ出荷台数が月間100万台を突破すると見て、この先の粗利益率改善が期待できるとしている。

また、出荷市場の地理的多様化も、粗利益率の安定に寄与する見込み。上期のスマホ出荷台数の内訳は、中国国内が41%、海外が59%(欧州・中東・アフリカが31%、北米・中南米が23%、アジア太平洋が5%)。国内市場の価格競争激化が利幅を圧迫する一方、海外市場の競争環境は比較的緩やかとなっている。

国内向けの端末出荷台数は上期に前年同期比67%増の280万台。BOCIはこれまでの研究開発費、販売費の拡大が、下期に実を結ぶと見ている。国内市場ではスマホに照準を合わせる見込み。すでに通信キャリア3社それぞれの3G規格に対応しているが、今後も新機種の投入に向けて3社との提携を維持する見通しという。製品構成はすでに中価格帯、低価格帯にとどまらず、今年5月以降にはTCL S900、アルカテルOT986などのハイエンド機種に手を広げている。

同社はオープンチャネル(系列店などを除いた自由販売経路)を拡大しており、6月末の6000カ所から、年末には1万カ所に増加する見込み。オープンチャネルは通信キャリア経由の販売より粗利益率が高く、BOCIは販売拠点の拡大が粗利益率の改善につながると見ている。同社はまた、家電量販チェーン蘇寧電器で、すでにクラウド・スマートフォン機種TCL S900の販売を開始した。