「株価は長期的には上昇する」という先入観が危ない
実は、3-1.のパターンで「塩漬け株」を作ってしまう根底には、「株価は長期的には上昇するものである」という意識が働いているのではないか、と筆者は考えています。
現に、戦後の高度経済成長時代を経て、バブルの頂点に向かうまでは、途中で幾多の株価急落があっても、持ち続ければ結局は買い値を上回ってくれました。「長期投資をすれば報われた時代」です。
しかし、バブル崩壊以後は、持ち続けるほどに株価は下落していき、「持ち続ければ株価はいつか上昇して買値を上回る」という過去の常識はもはや通用しなくなってしまいました。個人投資家は、このことに一刻も早く気付かなければなりません。「株価は長期的にみて上昇することも下落することもある」、これがバブル崩壊以後の日本株における「新常識」です。
株価が長期的に下げ続けることもある、ということが誰の目からみても明らかになったバブル崩壊後の日本株。そんな日本株に投資するからには、「持ち続ければ株価は上がる」という思い込み、期待、祈りは絶対に禁物です。
たとえ持ち株が業績好調で将来の上昇間違いなしと誰もが思っている銘柄だとしても同じです。実際にはそうした銘柄の株価が上がるどころか大きく下がるケースは2006年の新興市場バブルのように枚挙に暇がないからです。
「持ち続ければいつか株価は買値を上回る」という考え方を排除しなければ、これからの株式投資では生き残れないのです。