個人投資家が大きな失敗をする原因として、「塩漬け株」を抱えてしまうことがあります。
逆にいえば、「塩漬け株」を作らないようにすれば大きな失敗の多くは避けられるのですが、そもそも、なぜ個人投資家が「塩漬け株」を作ってしまうのかを探ってみたいと思います。

「塩漬け株」の発生メカニズムはおおむね次のような流れでしょう。

  1. 「将来の株価値上がり」を期待して株を買う
  2. 意に反して買った株の株価が下がる
  3. それでも「持ち続けていれば上がるはず」と我慢して持ち続ける
  4. その結果、さらに持ち株の株価が下がり、手も足も出なくなる

 1から4の中で、1と3が主観に基づく行動です。このうち、1の行動は特段問題ありません。というより、「株を買う」という行動がなければ株式投資は始まりませんから、至極当然の行動です(買うタイミングに問題があった可能性はありますが、その点については別の機会でお話しします)。

 問題なのは、3の行動です。株価が下がったとき、「持ち続けていれば上がる」と思ってしまうこと、これこそが塩漬け株発生の要因となるのです。

3の行動は、さらに細かく2つのパターンに分けることができます。

  • 3-1.「この株は業績も良いし株価の下げは一時的だから持ち続ければ必ず再び上昇するはず」と考えて持ち続ける (積極的塩漬け株形成派)
  • 3-2.「株価が下がって含み損を抱えてしまったが、今売ると損失が確定してしまうし、持ち続ければ株価が上がるかもしれないから売らないでおこう。」と考えて持ち続ける (消極的塩漬け株形成派)

 実は、3-1.のパターンで「塩漬け株」を作ってしまう根底には、「株価は長期的には上昇するものである」という意識が働いているのではないか、と筆者は考えています。

 現に、戦後の高度経済成長時代を経て、バブルの頂点に向かうまでは、途中で幾多の株価急落があっても、持ち続ければ結局は買い値を上回ってくれました。「長期投資をすれば報われた時代」です。

 しかし、バブル崩壊以後は、持ち続けるほどに株価は下落していき、「持ち続ければ株価はいつか上昇して買値を上回る」という過去の常識はもはや通用しなくなってしまいました。個人投資家は、このことに一刻も早く気付かなければなりません。「株価は長期的にみて上昇することも下落することもある」、これがバブル崩壊以後の日本株における「新常識」です。

 株価が長期的に下げ続けることもある、ということが誰の目からみても明らかになったバブル崩壊後の日本株。そんな日本株に投資するからには、「持ち続ければ株価は上がる」という思い込み、期待、祈りは絶対に禁物です。

 たとえ持ち株が業績好調で将来の上昇間違いなしと誰もが思っている銘柄だとしても同じです。実際にはそうした銘柄の株価が上がるどころか大きく下がるケースは2006年の新興市場バブルのように枚挙に暇がないからです。「持ち続ければいつか株価は買値を上回る」という考え方を排除しなければ、これからの株式投資では生き残れないのです。