5月11日
「一帯一路」サミット開催、関連ビジネスの急拡大でインフラ銘柄に恩恵
中国では5月14-15日に、シルクロード経済圏を構築するという国家戦略「一帯一路」をめぐって国際サミットが開かれる。28カ国の政府首脳が出席する予定で、中国にとっては極めて重要性の高い外交イベント。これに先立ち、中国輸出入銀行は中国交通建設(01800)との間で、「一帯一路」事業向けに2000億元を融資するという戦略提携契約を交わした。BOCIは短期的に、この種の覚書や契約書への調印が相次ぐと予想。個別では、中国交通建設、中国中車(01766)、中国鉄路通信信号(03969)、株洲中車時代電気(03898)、中国機械設備工程(01829)の5銘柄をトップピックとしている。
「一帯一路」サミットには28カ国の首脳(アジア12カ国、欧州11カ国、アフリカ2カ国、中南米2カ国、オセアニア1カ国)が出席するほか、100カ国以上から計61の国際機関や企業が代表者を送り込む予定であり、参加者総数は1200人を超える見通し。「一帯一路」構想が最初に発表された2013年9月以来、最大のイベントとなる。
中国の習近平国家主席は14日の開幕式典でスピーチを行い、15日には各国首脳が集まるサミット会議のホストを務める運び。14日にはまた、政策コミュニケーションや道路接続、貿易ルートの優良化、通貨流通、人的交流など、6つのテーマに沿った会議が同時並行的に開かれる予定となっている。
BOCIによれば、サミット会期中には中国側と諸外国との間で、「一帯一路」関連の多くの覚書や契約書が交わされる見込み。主に輸送、エネルギー、通信などの分野で、50超のプロジェクトをめぐって合意する可能性が高い。中でも、輸送ルートの整備につながる交通網プロジェクトが多数を占めるとみられ、具体的には道路や鉄道、港湾、さらに発電などが、「一帯一路」イニシアチブの中心となる見通しという。
なお、同戦略はすでに動き出しており、中国が16年に獲得した「一帯一路」対象エリアからのエンジニアリング・建設契約は前年比36.5%増の1260億米ドルに達した。BOCIは関連ビジネスが18年に加速局面を迎えるとの見方。中国が「一帯一路」市場で獲得する建設契約は30年に総額1兆3600億米ドルに達すると予測し、16-30年に年平均19%の伸びが期待できるとしている。
今後予想される「一帯一路」関連の受注増は、香港上場の建設銘柄、鉄道設備銘柄全般にとっての追い風。インフラ・セクターは4月の高値から調整しており、BOCIは新たに買い増しのチャンスが到来したとみている。「一帯一路」がプラスとなる銘柄は以下の通り。中国交通建設、中国建築(上海A601668)、中国鉄建(01186)、中国電力建設(上海A601669)、中国能源建設(03996)、中国中車、中国鉄路通信信号、株洲中車時代電気、中国機械設備工程、中国鉄建高新装備(01786)。BOCIはこれら10銘柄の株価の先行きに対し、すべて強気見通しを明らかにしている