6月8日
今5カ年期間に過剰設備削減を加速、業界集約化を促進へ
中国セメント協会(CCA)は第13次5カ年(2016年-20年)のセメント産業発展計画を発表し、◇20%の幅で過剰設備を削減する◇国家戦略「一帯一路」に沿って海外市場の開拓を進める◇業界の一段の集約化により、上位10社の合計シェアを16年の58%から、20年には80%に引き上げる――などの方針を示した。BOCIはこうした計画が国内産業の健全な発展を支えるとし、セメント価格の底上げにも寄与する見通しを示した。個別では安徽海螺水泥(アンホイ・コンチ・セメント:00914)や華潤水泥控股(チャイナリソーシズ・セメント:01313)が業界統合を主導するとみる一方、比較的小規模な西部セメント(02233)については買収ターゲットとなる可能性を指摘している。
CCAは今5カ年計画の期間中に、国内のクリンカー生産能力を4億トン(20%)分削減する計画。そのために、◇20年まで新規生産ラインの認可を禁じる、◇環境・安全基準に満たない旧式設備を閉鎖する――などの措置を講じる。これにより、業界全体の設備稼働率を15年の平均70%弱から、20年には80%超に改善させる方針。仮に生産力の削減が予定通り進み、かつ向こう2-3年のセメント需要が横ばいに推移した場合、供給過剰は段階的に改善に向かい、20年には需給均衡を達成する見通しという。
CCAはまた、上位10社の市場シェアを20年に計80%に引き上げる計画。さらに、M&Aや再編を通じ、メーカー総数を25%以上の幅で削減する。こうした産業政策は業界集約化を促し、経営効率化や採算性の改善につながる可能性が高い。
このほか、CAAは技術アップグレードを通じ、エネルギー消費抑制や排ガス削減といった環境問題にも取り組む計画。セメント生産用キルンの廃棄物共同処理の割合を15年の3%から20年には15%に引き上げるとの目標を掲げた。
BOCIはCAAの発展計画が余剰生産問題の解消に大きく寄与する見通しを示し、長期的にセメント販売価格の下支えが期待できるとした。また、こうした産業政策は大手メーカーに有利になるとの見方。個別では営業効率が高く、バランスシートが力強い大手2社、安徽海螺水泥と華潤水泥控股が主に買収する側に立つと予想(両社の国内シェアは生産能力ベースで各11%、4%で、業界2位と5位)。一方、国内シェアが1%にとどまる西部セメントについては買収ターゲットになり得るとしている。
BOCIは1トン当たり粗利益の上昇や高配当利回り、現在株価の低バリュエーションを理由に、華潤水泥控股をトップピック銘柄とした。ほかに、黒字転換を果たした西部セメントの株価の先行きに対しても強気。一方、安徽海螺水泥については、1トン当たり粗利益の改善がすでに株価に反映されたとみて、先行きに中立見通しを示した。また、この3銘柄のいずれに関しても、この先の買収の可能性(買収する側がされる側かを問わず)が株価の支援材料になり得るとしている。