イオンリートを「買い」と判断する三つの理由
前段でご説明した通り、イオンリートの予想分配金利回りは5.3%まで上昇して、魅力的です。
ただし、ここで気を付けなければならないことがあります。REITの分配金利回りは確定利回りではありません。業績が悪化して減配となれば、利回りが下がるだけでなく、価格が下落することもあります。投資銘柄を選別するに当たって大切なことは、安定的に分配金を出し続ける力があるか、判断することです。
以下3点から、私は、イオンリートは安定的に収益を稼ぎ、分配金を出していく力があると判断しています。
【1】イオングループの強力なパイプラインサポートによる成長性
【2】安定した経営状態
【3】自然災害に対しての耐性
それぞれの理由について、以下、詳しく解説していきます。
【1】イオングループの強力なパイプラインサポートによる成長性
イオンリートは、イオングループからの情報提供、優先交渉の権取取得、ウェアハウジング機能の活用により、厳選した物件の継続的な取得を可能にしています。国内の開発物件はもちろん、イオングループの海外出店に連動して海外の物件も取得しています。海外不動産への投資はJ-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)ではイオンリートが初です。
イオンリートが保有している海外の物件は、2024年4月17日時点でマレーシアの2件です。マレーシアは2024年第1四半期(1~3月)の実質GDP(国内総生産)成長率が前年同期比4.2%増と高水準で、今後賃料の上昇が期待されます。
<イオンリート投資法人 海外物件情報>
【2】安定した経営状況
イオンリートの営業利益は以下の通り推移しています。
<イオンリート投資法人 上場来営業利益の推移>
2013年の上場以降、物件拡大に伴って営業利益を伸ばしてきました。影響で停滞した時期はありますが、足元では、コロナ影響を脱して、また成長軌道に戻りつつあります。
イオンリート投資法人は、豊富な手元資金の活用によって持続的な成長を実現しています。年間約104億円もの減価償却費を創出しており、配当準備積立金も第23期末時点で約24億円の見込みとなっています。
資金調達先についてIPO(株式の新規公開)当時は、金融機関のローンを100%主体でしたが、現在ではホール債やリテール債や合同金銭信託など、幅広い資金調達先に分散されています。
返済期限の面でも5年から7年を目安に分散し、マーケットリスクを低減した安定調達を可能としています。
近年、注視されている金利変動のリスクについても対策が打たれており、金利固定化率は97.8%と高水準で目先の金利上昇への耐性があると言えます。
REITで借入余力の指標とされる借入金比率(LTV)は43~47%の水準を目安としており、直近の2024年7月期は44.3%(敷金込み)と安定的に推移しています。
【3】自然災害に対しての耐性
イオンリート投資法人は投資エリアを限定せず、全国28都道府県の49物件と、前述したマレーシアに広く分散した物件に投資しています。これにより一部の地域で大規模な自然災害が起こった時でも重大なダメージを受けないポートフォリオとしています。
<イオンリート投資法人 エリア別物件数>
国内ポートフォリオにおいて地震保険の保険金額は20億円、その他火災保険にて台風や豪雨にも対応し、施設賠償責任保険にて営業補償も対象として幅広いリスクをカバーしています。
以上でイオンリートを買いと判断する理由の説明は終わりです。以下、そもそもJ-REITについてよくご存じでない方のために、J-REITとは何かご説明いたします。