半導体関連株は、シリコン・サイクルを先取りして動く

 最初に申し上げたように、半導体関連株は半導体不況の最中に次のブームを織り込んで急騰し始め、半導体ブームの最中に次の不況を織り込んで急落する傾向があります。

 近年のシリコン・サイクルと半導体関連株の動きをざっくりまとめたのが、以下の表です。

シリコン・サイクルと半導体関連株の動き:2017年~2024年10月

出所:楽天証券経済研究所が作成

 表の説明をよく読んでいただくと気づくと思いますが、半導体関連株はこれまでシリコン・サイクルを1年くらい先取りして動いてきました。

【1】半導体ブームの中で関連株が急落した2018年

 シリコン・サイクルでは上昇局面なのに、株価が急落しているのが2018年です。厳密にいうと半導体業界が大ブームに沸いていたのは2018年前半まででした。年後半は、ブームの中心にあったフラッシュメモリ(データセンターやスマホの記憶媒体に使われる半導体)やDRAM(一時的なデータ保存に使われる半導体)の需給が緩み、市況が下落し始めていました。

 さらに、米中ハイテク戦争の影響を受けて、中国での需要鈍化が鮮明になりました。半導体ブームの終焉(しゅうえん)を先取りして、日本の半導体関連株は2018年の1年間にわたり大きく下がりました。

【2】半導体不況の中で関連株が急騰した2019年

 2019年になり半導体不況が始まると、株価は逆に急騰を始めました。次のブームを織り込む動きが始まっていました。

【3】半導体ブームの中で関連株が急落した2022年

 2022年はまだブームが続いていましたが、メモリ市況が下落するなどブーム終焉を思わせる事象が現れていました。次の不況を織り込んで株価は急落しました。

【4】半導体不況の中で関連株が上昇し始めている2023年

 2023年は「半導体不況の年」ですが、半導体関連株は急騰し始めました。2024年からのブーム復活を先取りした動きと考えることができます。

【5】2024年の後半に入って半導体関連株が急落

 今年、半導体関連株が急落した理由として二つの可能性が考えられます。

 一つは、2025年からまた半導体不況になるのを織り込んでいる可能性です。

 もう一つは、半導体ブームの中での一時的な調整の可能性です。

 どちらなのかは現時点では分かりません。2025年になってから分かることでしょう。

 このようにシリコン・サイクルを読むのは難しく、半導体関連株の買い時をはかるのはとても難しいことです。徹底的に勉強して良いタイミングでの売買を目指すか、あるいは、売買タイミングを考えずに、常に一定比率の半導体関連株を持ち続けるか、どちらかが良いと思います。

 最後に、私の著書出版のお知らせです。

テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく学びたい方へ

 8月1日に、私の「株トレ」新刊が、ダイヤモンド社より出版されました。

2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編

 一問一答形式で、株式投資のファンダメンタルズ分析を学ぶ内容です。

 2021年12月出版の前作「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」の続編です。