正解

【第1問】半導体株指数の動きを示しているのは【A】です。【B】は日経平均です。

再掲:日経平均と半導体株指数の月次推移:2012年1月~2024年11月(12日)

出所:2012年1月末の値を100として指数化、QUICKより筆者作成

【第2問】日本が強いのは、【2】半導体材料と、【3】半導体製造装置です。

 残念ながら、【1】半導体メーカーとして強い会社は、今の日本にはありません。

 1980年代には、日本の総合電機(NEC、日立製作所、東芝)が、半導体で世界トップの座を、米国から奪いました。ところが、1990年代以降、日本の半導体産業は凋落し、かつての力はまったくありません。今は、米国のエヌビディア、AMD、台湾のTSMC、韓国のサムスン電子などが、世界の半導体産業を支配しています。

 ただし、日本は、半導体材料・半導体製造装置では、依然として世界的に高い競争力を維持しています。半導体シリコンウエハで信越化学工業(4063)SUMCO(3436)が世界過半数のシェアを握っています。また、半導体製造装置で東京エレクトロン(8035)、半導体テスターでアドバンテスト(6857)が高い競争力を有しています。

半導体は成長産業、半導体関連株への投資価値は高いと判断 

 改めて、日経平均と半導体株指数の動きを示した、上のチャートをご覧ください。日経平均は、2012年1月末との比較で4倍超に上昇しています。かなり良いパフォーマンスです。ただし、半導体株指数は、同じ期間に9倍超に上昇しています。

 半導体は成長産業であり、半導体関連株に投資することが資産形成に寄与すると思います。ただし、半導体関連株に投資するのは簡単ではありません。投資タイミングをはかることがとても難しいからです。

 上のチャートを見ると分かる通り、半導体関連株は、しばしば急落します。急落・急騰を繰り返しながら上昇していくのが、半導体関連株です。

 半導体産業には、シリコン・サイクルといわれる好不況の波があります。誰もが強気で半導体メモリの好調が続くと思っているときに突然ピークアウトし、半導体不況が始まります。もう半導体では稼げないと思われている半導体不況の大底から、突然急回復が始まり、空前の半導体ブームになります。

 みんなが強気の時に買うと大損し、みんなが弱気の時に買うとすごくもうかることが多かったのが、半導体関連株です。だから、投資タイミングをはかることがとても難しいのです。

投資タイミングをはからず、半導体株に淡々と分散投資していくのが良い

 半導体株を、良いタイミングで買って良いタイミングで売ろうとしない方が良いと思います。うまく売買しようと思うと、かえって最悪のタイミングで売買してしまう可能性があるからです。

 そのことをご理解いただくために、過去26年のシリコン・サイクルと半導体関連株の値動きを簡単に解説します。まず、世界の半導体出荷金額の推移をご覧ください。

世界半導体出荷額(3カ月移動平均):1998年1月~2024年9月

出所:SIA(米国半導体工業会)より作成

 半導体の需要は常に増加し続けていますが、半導体出荷額は減少することがあります。半導体市況が大きく下落する時に、出荷額が減少します。最先端の半導体の開発競争がこのような変動を生じさせます。

 半導体では、常に微細化・高機能化の開発競争が行われています。最先端の半導体は、なかなか歩留まり【注】が上がらないため、供給不足で価格が高止まりします。そのうち、量産に成功する企業が出始めるとばく大な利益を稼ぎ、半導体ブームとなります。

【注】歩留まり(ぶどまり)
 工場で生産される半導体から、「不良品」を取り除いた出荷可能な「良品」の比率を、「歩留まり」という。最先端の半導体は、生産が難しく、当初、歩留まりが低い。技術がこなれて生産が軌道に乗ると、歩留まりが上昇する。

 ところが、量産に成功する企業が増えると価格は大きく下がり、半導体メーカーの収益が悪化して半導体不況になります。このような循環が半導体メモリといわれる、かつての半導体の主戦場で起こっていました。今は半導体の種類が増え、少量多品種のカスタム品が増えたこともあり、昔ほどの激しいシリコン・サイクルはなくなりました。それでも開発競争は続いています。

 今はAI半導体の開発競争が激しくなっています。そこで先行しているエヌビディアが巨額の利益をあげています。その生産を受託している台湾TSMCも好調です。ただし、AI半導体もいずれ量産に成功する企業が増えると価格が低下するはずです。それがいつになるのかは分かりません。

 このように、半導体の開発競争が続く限り業界特有のシリコン・サイクルはなくなりません。それが上のグラフに見られるようなサイクルを生じさせています。