円高が「外国人売り」を招いた

 米国株に比べて日本株の上値が重いのは、円高への不安が原因と考えられます。円高は、外国人投資家の売りを招くことが多くなっています。足元では円安が進んできましたが、先行き、米利下げが続くことで、円高になる不安は残っています。

日経平均とドル円為替レートの推移:2023年1月4日~2024年10月21日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 いつもお伝えしているように、日本株は過去30年以上、外国人投資家の売買で動いています。外国人は買う時は上値を追って買い、売る時は下値をたたいて売る傾向が強いからです。

 その外国人が、7月以降、売り越しに転じたことが、日経平均急落を招きました。外国人はその後も売り越し傾向が続いていますが、日経平均は急反発しました。8月9月は珍しく、外国人が売る中での日経平均急騰となりました。個人投資家の買いや、自社株買いなど国内勢の買いが、外国人の売りをこなして日経平均を上昇させる要因となりました。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2023年1月4日~2024年10月21日(外国人売買は10月11日まで)

出所:QUICK・東京証券取引所「投資部門別売買動向」より楽天証券経済研究所が作成
注:外国人売買は、株式現物と日経平均先物、日経平均ミニ先物、TOPIX先物の合計。棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す

日本株の投資判断

 日本株は、長期投資で良い買い場との判断を継続します。ただし、短期的には上値の重い展開が続く可能性があります。

 10月27日の衆院解散総選挙、11月5日の米大統領選、11月6~7日のFOMC(米連邦公開市場委員会)など重大イベントが控えていることに加え、これから本格化する7-9月決算を見極めたいとのムードが続くからです。

 これらのイベントを大過なく通過し、米景気ソフトランディング、日本の景気の緩やかな拡大継続が見えてくるまでは、上値が重いと考えられます。

 ただし、いつも述べているように、短期的な相場予測はあまり重要とは考えていません。日本株は割安で、長期的な上値余地は大きいと私は考えています。短期的な相場予測に過度にベットする(賭ける)ことなく、割安な日本株を時間分散しながら買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えます。

▼著者おすすめのバックナンバー

2024年10月21日:トランプ?ハリス?米大統領選の勝者は誰か。日本株への影響は?(窪田真之)
2024年10月1日:石破内閣誕生へ。歴代内閣と日経平均、外国人投資家に日本の政治はどう見える?(窪田真之)