外国人投資家は小泉内閣と第2次安倍内閣を高く評価
ここで2001年4月以降の日経平均の動きと、日本の政権推移を振り返ります。
<小泉政権発足以降の歴代首相と日経平均の動き:2001年4月~2024年9月30日>
上のグラフで、外国人投資家の大量の買いによって日経平均がダウ工業株30種平均を大幅に上回る上昇率になった年が2回あります。赤丸をつけている所です。2005年と2013年です。2005年はNYダウが前年比0.6%下落する中で日経平均が40.2%上昇しました。2013年はNYダウが26.5%上昇する中で日経平均は56.7%も上昇しました。
この二つの年の共通点は、「解散総選挙で自民が大勝、小泉首相・安倍首相が強いリーダーシップを発揮」したことです。資本主義の構造改革・成長戦略が進む期待から、外国人が日本株を積極的に買ってきました。米国株以上に、日本株が魅力的になったと外国人が考えた年です。
2012~2013年に日本株ファンドマネージャーだった私は、欧米、中東、中国、韓国の機関投資家と面談してよく話しました。国が違っても、日本株を見ている外国人投資家の考えには共通点がありました。
アベノミクスがスタートした2013年によく聞かれたのは以下の言葉です(多数の外国人の言葉を筆者が要約)。「社会主義的な政策を進める政党から資本主義政党に政権が戻ったので日本株のポジションを増やす」
外国人がいかに日本の政治の変化をよく見ているかご理解いただくために、小泉政権以降の、解散総選挙前後の日経平均をお見せします。解散総選挙後の大きな動きは、外国人投資家が引き起こしています。
<衆院解散総選挙前後の日経平均の動きを比較:総選挙の28営業日前から、58営業日後までの動き>
2005年の第3次小泉政権による郵政解散選挙と、2012年12月の第2次安倍内閣がスタートした選挙の直後に、外国人投資家は、日本株を大量に買ってきました。
民主党政権誕生では、外国人投資家は、日本株を売ってきました。岸田内閣開始の後も、外国人は当初、売りが先行しました。「金融所得課税強化」や「企業の内部留保に課税」などの議論が出たことを嫌気したと考えられます。
ただし、岸田政権は、その後政策を修正し、新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)など資産立国を目指す戦略を打ち出したことから、その後外国人の買いが復活して、日経平均は大きく上昇しました。
日経平均の動きには、衆院の解散総選挙以外の要因も複雑に絡み合っています。日本の政治とは関係のない、世界景気の影響も強く受けています。従って、上記のグラフに出ている日経平均の動きが、解散総選挙だけで決まったと言うつもりはありません。
解散総選挙に伴う外国人の反応は、あくまでも、たくさんある相場変動要因の中の重要な一つです。