日本製鉄の過去44年の歴史

 ご参考まで、同社の過去44年の株価チャートをご覧ください。

日本製鉄の株価月次推移:1980年1月~2024年9月(6日)

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 ご覧いただくと分かる通り、日本製鉄株は、1980年代以降、2回急騰相場があります。1回目は1980年代後半、2回目は2000年代の後半です。

【1】1980年代後半の大相場

 日本製鉄は明治の産業革命をリードし、さらに戦後1960年代の高度成長の中心となった名門企業です。ところが、1970年代のオイルショックで低迷し、1980年代の前半には構造不況業種となりました。

 そこからの大復活があったのが、1980年代後半の好景気です。バブル景気とも言われる内需景気で、建設ブームが起こり、鉄鋼産業も大復活を遂げました。それを受けて、ご覧の通りの大相場となりました。

【2】2000年代後半の大相場

 バブル崩壊の1990年代に鉄鋼産業は再び構造不況に陥りました。ところが、その後、合併とリストラで筋肉質に生まれ変わった後、大復活しました。2000年代の後半は、ブリックスと言われた新興国(中国・インド・ブラジル・ロシア)の成長が加速して、これらの国で鉄鋼需要が急拡大しました。日本の鉄鋼産業もその恩恵で大復活しました。

 ただし、リーマン・ショックが2008年に起こると、ブリックスの高成長による鉄鋼業の興隆も終わりました。中国の鉄鋼産業が、収益無視の大増産を続けたため、世界の鉄鋼市況が暴落し、世界中の鉄鋼産業が構造不況に陥りました。

 日本製鉄は、中国と競合する汎用品はほとんど手掛けず、ハイエンド・スチールに特化していたので、相対的には収益力を保ちました。それでも、汎用品の下落の影響を受けて、ヒモ付きの高級鋼材も安値が続き、収益低迷が続きました。

 日本製鉄は、リーマン・ショック後、さらに構造改革を進めました。国内で余剰だった高炉の閉鎖を進め、過剰設備が解消されたところで、極端な安値にとどまっていたヒモ付き価格の引き上げを進め、収益力を大幅に高めました。その成果で、2022年3月期は、売上・営業利益・経常利益・純利益の全てで過去最高を更新しています。

 構造改革を完遂した上で、満を持して、USスチールの買収に踏み出したところです。

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