共働き正社員夫婦なら、ダブル退職金で「老後に2,000万円」を確保することも
さて、年金額が大幅にアップするとはいえ、それだけで老後の安心が確保できるわけではありません。傾向として、年金水準の高い世帯ほど、生活費の水準も高い関係があり、年金が多い人は生活コストも多くなります。
要するに、定期収入が多いと、それを全て日常生活費に充ててしまい、年金が少ない人よりもちょっとぜいたくをしてしまうわけです。結局のところは、年金が多い人も少ない人も、それなりにお金が足りなくなってしまいがちです。
しかし、これも共働き正社員夫婦ならカバーの余地があります。まず、ダブル退職金の存在です。従来であれば、正社員は夫1人のモデルですから退職金は1人分しかもらえなかったわけですが、これからは2人分の退職金をもらってリタイアする夫婦が増えていきます。
退職金の水準は各社各様ですし、女性の方が退職金額が少なくなる傾向がありますから、単純に2倍とはならないでしょうが金額的インパクトは絶大です。(女性の退職金が相対的に低くなるのは、賃金水準、職階級、時短勤務期間の有無などが退職金の算定額に影響を及ぼすため)
夫婦が1,000万円の退職金をそれぞれもらうだけで、これまた「老後に2,000万円」の準備が完了していたことになります。金額の水準は、自分の会社で調べてみてください。
NISAとiDeCoを上手に活用して「パワー資産形成カップル」を目指そう
最後に取り組むべきは、やはり投資を通じた資産形成です。NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)を活用してさらなる資産形成に取り組んでほしいと思います。
ここは、共働き正社員夫婦の年収の状況、家族構成の状況などを見ながら考えていくことになりますが、年収100万円程度で働いているケースと比べれば、貯蓄の余力はあるはずです。ぜひ資産形成にお金を振り向けていきましょう。
NISAの上限を気にする必要はありませんので、それぞれのできる範囲で積立投資を設定していくといいでしょう。
共働き夫婦の場合、悩ましいのは「夫婦どちらかの口座で集中的に投資をするのか」「夫婦両方が投資をするのか」ですが、ここは制度によって使い分けてみます。
iDeCoの場合、上限が小さいので「ダブルiDeCo」がいいでしょう。所得税・住民税の非課税効果はできればフル活用したいところ。
一方、NISAについては枠が大きいため2人分ないと余ってしまう、という心配がありません。投資について理解と関心の高い方がNISA口座を1人分作るやり方でもいいでしょう。もちろん、夫婦がそれぞれ自分のNISA口座を持っても構いません。
しかし、できればそれぞれが自らの稼ぎから積み立てをする方がいいでしょう。「私は投資は怖いから」と及び腰にならず、少額でもいいので分散投資(投資信託を用いて)でNISAを活用してみてください。
ダブルNISAでパワー資産形成カップルとなれば、老後はさらにゆとりのあるものとなるでしょう。