今日の為替ウォーキング
今日の一言
努力が必ず報われるとは限らない。しかし、努力なしには何も得られない
Maybe I’m Amazed
7月の雇用統計は弱かったが、マーケットが悲観するほど悪くはなかった。雇用統計が示唆しているのは、新型コロナ後の米国経済の異常な成長が落ち着き、トレンド並みに戻ったということだ。
就業者が予想を大きく下回ったのは、悪天候が大きな理由だった。増加数は減っているが、リストラの不安が広がっているわけではない。失業率はサーム・ルールに該当するが、米国はリセッションではないとサーム氏本人が述べている。移民急増や労働形態など、新型コロナ後の雇用市場の構造変化がルールの有効性を減じている。
マーケットの一部はFRB(米連邦準備制度理事会)の緊急利下げを予想しているが、過去においてFRBが雇用市場を理由に利下げしたのは、雇用者が2カ月連続でマイナスになった時だ。また現在の状況が、FRBが緊急会合を開いた911やリーマンショックや新型コロナ流行時と同じほど深刻かといえば、決してそうではない。
BLS(米労働省労働統計局)が8月2日に発表した雇用統計によると、7月のNFP(非農業部門雇用者)は11.4万人増となり、事前予想の17.5万人増を大きく下回った。7月は悪天候の影響で、同月としては過去最多となる43.6万人が出勤できなかったことが影響した。また、6月の雇用者数は20.6万人から17.9万人に下方修正された。
失業率は4.3%に上昇した。前月の4.1%からの増加で、予想の4.1%も上回った。サーム・ルール(Sahm Rule)によると、失業率の3カ月移動平均が過去12カ月の最低値から0.5%ポイント超上昇した場合、景気後退に陥る可能性が高いとされている。失業率の直近3カ月の平均は4.1%で、過去12カ月の最低値は2023年8月の3.6%。その差は0.5ポイントになってサーム・ルールに当てはまる。
平均時給は前年同月比で3.6%増となり、前月の3.8%増から鈍化した。また、前月比では0.2%増で、市場予想の0.3%増を下回った。
雇用統計の「大幅悪化」を受けて、金利市場はFRBの年内1.25%利下げ(0.50%×2回、0.25%×1回)まで織り込み始めた。しかし、NFP3カ月平均増加数の17.0万人というのは、(月平均20万人以下が適当とする)FRBにとってはむしろ心地よい数字であり、大規模利下げを正当化する水準ではない。
グールズビー・シカゴ連銀総裁は「FRBは1回の数字に過剰反応することはしない」と述べ、マーケットの先走りに警告を発している。
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