今日の為替ウォーキング
今日の一言
明日に延ばしてもいいのは、やり残して死んでもかまわないことだけ。- パブロ・ピカソ
I Was Made For Lovin' You
「市場が健全に機能し、投機による過度の変動がなければ介入する必要はない。」などと、神田財務官の円安けん制発言は少しトーンダウンしている。鈴木財務相はもとより、「円安にはプラス面もある」と繰り返す円安擁護派だ。介入の目的はあくまでも円安の速度調整のためのスムージング・オペレーションであり、円安を是正したり相場の方向を変えたりするものではない。ゆっくりと恒常的な円安相場を形成するというのが政府の本当の狙いである。それをわかっている投資家は、押し目買いの絶好のチャンスとなる介入を今か今かと待っている。
植田日銀総裁は、「円安は物価に影響を及ぼしやすくなっている」との見方を示しているが(誰もが知っていることだ)、円安が良くないとは言わない。日銀の政策は、デフレマインドを根絶することで、日本人が節約の美徳を忘れ消費の快楽に耽るようになるまで緩和政策を投与し続ける考えだ。その目標達成までの時間を円安が早めてくれるならば、日銀は歓迎だ。
米国の世論調査によると、バイデン大統領の支持率が下がっている大きな理由は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げによる金利高よりも、「高インフレ」に対する不満である。
日本の「円買い/ドル売り」介入をイエレン財務長官が認めると、輸入インフレの要因となる「ドル安」を容認したことになるから、米国内の有権者から猛烈な批判を受けるだろう。FRBは、7月に利下げしてインフレが秋に再燃すると、11月の大統領選挙を目前にして困ったことになる。早期利下げは、経済データよりも政治的にリスクが高いということだ。いずれにしても、日本も米国も「ドル高/円安」が望ましいという考えでは一致しているのだ。